第8話
またもやベットの上、初めて貰ったラブレターを天井にかざし、ルカが言っていたことを思い出す。
「さっきの女。どうやらアクと何か関係があるらしい」
「なんだよ、何かって」
「それは断定ができない。彼女自身がアクかもしれないし、何か巻き込まれているかもしれない。操られているとかな」
「仮にそうだとして、だからなんだっていうんだよ」
「私は何故君がそこまで苛立っているのか分からないな。いくら能力が使えるとはいえ、それが何なのかこちらは把握していないんだ。もし、今の交際の申し出を受けていたら殺されたり、食べられてしまう可能性は大いにあるのだぞ? 感謝されることすれ、恨まれる筋合いなどないはずだが」
「そうか。それはどうもありがとうございました」
いつの間にか握っていたフェンスを指の形と同じになるのではないかというほど撓めて、その場を去って行ったのだ。
本当はそこまで怒りたくはなかったのだが、なぜそうしたかと問われれば答えは出せないし、それがあったとして翌日に彼女にあったとしても、敢えて言うほどのことでもないと判断した。
翌日、告白してきた女の子、名前を小暮というのだが、その子が学校を欠席してしまったのだ。何故分かったのかといえば、単純に同じクラスであったがためだ。
風邪であると担任教師は告げたが、その原因は自分にあると罪悪感にさいなまれた剣ではあるが、その次の日には告白がリセットされ別人のように友達と話し込む小暮を見て彼の罪の意識は昼食をとるころにはほとんど残っていなかった。
それが再び生まれてしまうことなどその時は露知らず。