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迷走探偵秋谷静  作者: 青波零也
前書きにかえて
1/12

迷走探偵かく語れり

 これはあくまで私の場合の話であって、決して誰にでも通用するものじゃないことはよくわかっているけれど。

 基本的に私は自分で見て体験したことしか信じないし、逆に言えば自分で見て体験したことなら何でもかんでも信じる性質の人間でね。自分自身の感覚ってやつを絶対的に信じている、とっても自己中心的な人間なんだ。

 だけど、人間の認識っていうものはそういうものだと思わないかな?

 結局のところ、自分が感じていること、自分が見て聞いたと思っていること、それしか自分の中での判断の基準にはならない。それすらも正しいかどうかはわからないけれど……この世界は、そういう「正しいかどうかよくわからない」認識の総意で出来上がっているものだから、それでいいんじゃないかなあって思うんだよね。

 あー、何が言いたいのかって?

 だからね、私が思うに、この世界ってのは決して一面的じゃないんだよね。多分。世界って大げさな言い方かもしれないけど……この世界に存在する全ての出来事は、誰かの認識を通してでないと語れない。で、誰かの認識を通した地点で、多少は歪んでしまう……我々が人間である限り、ね。

 まあいろいろぐだぐだ言ったけれど、私が言いたいのは『ここで語る物語は誰かの認識から語られた物語であり貴方の認識ではない』ってこと。

 一応私の名前がついてるけど、大体視点は私の側に居た誰か。そして描かれる私は誰かの認識から語られる私。

 どの私が正しいなんてのはないよ。どれも、これも、全部私。私という存在を誰かというフィルタに通したらそうなるってだけでね。逆に言うと誰かというフィルタを通さなければ私という存在が語れないということで……語られなければ、私という存在は、無いということになるのかな? ううむ、その辺はまだ考えどころだな。

 そして、これらの物語で起こる『出来事』もまた、誰かの目を通したものだ。

 正しいと判断するか、間違っていると判断するかは貴方次第だが、覚えておいて欲しいのは、これらの物語を語った人間はそれを『事実』であると認識している、ということだね。

 どういうことかって?

 だから、どんなに貴方が間違っている、と思っても、真っ向から否定しないでやって欲しいんだ。彼らは彼らで一生懸命物語っているわけだし、私は彼らの言い分を決して間違っているとは思っていない。全ては彼らにとっての事実であり、現実なんだ。私が彼らの認識した『事実』を同じように認識できたかどうかは別として、だが。

 え? やっぱりわからない?

 うん、なかなかわかってもらえないんだよね、私の言ってることってさ。言い方が下手なのか、言ってることが荒唐無稽なのか……ああ、どっちもかな。うん、きっとそうだ。

 じゃあもっと簡単に、一言で言ってしまうとだね。

『真面目に考えると後悔するよ』

 ってところかな。

 これらの物語はどうにも、私と彼らの認識の上で形作られているものだから、貴方の思っている『常識』や『理論』とはかなりかけ離れていてね。全く別の世界の物語とでも考えて、何も考えずに読んでいただけたなら、幸いだよ。

 無責任? ははっ、そうかもね。

 でも私はそうやって生きてきたし、これからもそういうスタンスで生きていくつもりだよ。無責任ながらも、彼らと、貴方の持っている認識と視点をできる限り大切にしながら……さ。

 

 

 長々とわけのわからない話をして悪かったね。

 では、物語を始めようか。

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