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夢現  作者: 猫芽ヒカル
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エピローグ

 貴史らが釈放されたのは、捕まった翌日午後の事だった。

 会社のあらゆるものが押収されていたが、詐欺に当たるものは見つけられず、証拠不十分との理由だった。


 三人は揃って拘置所を出ることになった。

 拘置所の入口に一人の女の子がしゃがみこんでいる。


「みんな!」


 三人の姿を見つけた友香は、立ち上がると表情を崩して泣き出した。


「待っててくれてありがとうな」


 聡が友香の頭をくしゃくしゃ撫でる。


「良かった……。本当に……」


 友香は言葉を詰まらせながら言った。



 拘置所を出てしばらく後、四人は事務所に戻ってきていた。

 色々なものが押収されてしまったままで、会社はまるで強盗に荒らされた跡のようになっている。


「まさか警察に捕まるとは思ってもみなかったな」

「そうね。まあどっかの企業の逆恨みってやつかな」

「でも、あれだけ大規模に捜査に来たのに、なんかあっさりしすぎてないか?」


 聡は首を捻った。


「すぐに釈放されたのが気になるのか?」

「ああ、ちょっとな」

「それなら恐らく、マスターさんのおかげだと思いますよ」


 友香の言葉に、ますます聡は首をかしげた。


「マスターさん?」

「ええ、昨日みんなが捕まった後、マスターさんに相談したんです。そうしたら、ここはご意見番に任せろって言ってました」

「マスターさんって何者なんだ?」


 貴史が友香に尋ねる。


「いや、私も良く知らないんですけど。一度だけマスターさんと思われる人に会ったことがあります。ちょっと厳ついおじいちゃんでした」

「そうなんだ。ひょっとしたら凄い人なのかもしれないね」

「そういうことなら、今夜マスターさんにお礼をしないとな」


 聡の言葉に全員が頷いた。



 SATO_00:僕らが捕まって色々動いて頂いたと聞きました。マスターさんありがとうございます

 TAKA_302:本当に助かったよ。

 PapaPopo:相談に乗ってくれて、ありがとうございました。

 NAMI_1212:ありがとうございます

 MASTER_Q:いいえ、私なぞ大したことはしておりません。

 NAMI_1212:あれ、マスターさんキャラ変えた?

 PapaPopo:なんかマスターさん、言葉が変に丁寧ですね……。

 MASTER_Q:そうですな。まあそれはさておき、皆さまはこれからどうなさるおつもりで?

 TAKA_302:ドリーマーズはもう潰れたようなもんだよな?

 NAMI_1212:そうなるね。こっから立て直すのは流石に無理そう……

 PapaPopo:タカさんはまたニートに逆戻りですね。

 SATO_00:ははは、俺もですよ

 MASTER_Q:まだタカさんは予知夢を見られるんですか?

 TAKA_302:うん、今日は釈放された夢だったな。

 NAMI_1212:どうせ聞き取り役がいないから、忘れてたんでしょうけどね。

 TAKA_302:ご名答! すっかり忘れてた。

 PapaPopo:その力さえあればまた一から会社立て直せるかもしれないですよね?

 SATO_00:そうですね、これで終わりにはしたくないですよ

 NAMI_1212:さんせーい! また一花咲かせましょう!

 MASTER_Q:皆さま、まだまだやる気満々ですな。

 TAKA_302:そりゃあそうさ。俺らはドリーマーズだぜ!

 TAKA_302:俺らの夢はまだ終わってない。

 NAMI_1212:ナニソレ、くっさー!

 PapaPopo:ドン引きです。

 SATO_00:まあいいんじゃないですか、新生ドリーマーズやってやりましょうよ!

 MASTER_Q:となると、また有効利用法を考えないといけませんな。

 TAKA_302:久しぶりにオフ会するか!

 PapaPopo:いつも会ってますけど……。まあでも、それもいいかもしれませんね。

 SATO_00:そうですね。原点に返ってオフ会から始めますか!

 NAMI_1212:さんせーい! またあのレストランに集合ね。

 TAKA_302:了解。今度こそ、マスターさんも来てくれよ!

 SATO_00:そうですね、お礼もさせてほしいですし

 PapaPopo:マスターさん、強制参加!

 MASTER_Q:困りましたな。


 その日のチャットは午前一時半まで続いた。


「ふぅ……」


 ノートPCをパタンと閉じた野田はため息をついた。


 ここは園田家の使用人部屋。

部屋の中を机上のスタンドライトだけが照らしている。

オレンジ色の光は、机の周囲だけをぼんやり浮かび上がらせていた。


「なかなかご主人様のようにはいきませんな」


 主人のいなくなった家は、いつもよりも静かだ。

使用人もほとんどが通夜で出払っている。

庭の蝉の声だけが聞こえる。


 野田は窓を開いた。

 涼しい風が部屋の中へ吹き込んできた。

見上げると空一面に星が煌々と光っていた。


(ご主人様、彼らなら問題なくやっていけそうな気がいたします)


 明日も暑くなるだろう。

 野田は明日の天気と、ドリーマーズの次の挑戦に思いを馳せながら、夜空を眺めるのだった。


(了)

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