向井聡⑧
翌日、菜穂美と友香の授業が終わった後、いつものレストランでMASTER_Qを除くドリーマーズのメンバーが集合していた。
「とりあえず、決めなきゃいけないことは?」
聡がメンバーに意見を求める。
「えっと、とりあえずは社長を誰にするか、かな?」
菜穂美が自信無さげに答える。
「そうだな。とりあえず社長決めちゃっとこう」
貴史が同意する。
「やっぱり、予知夢が使える貴史が社長かな?」
「えー、貴史はダメでしょ。聡の方が向いてるんじゃない?社会人経験あるんだし」
「僕も聡で異議なし」
「私も……」
皆が聡の方を見ていた。
「俺かよ! まぁ……みんながそう言うんなら」
あっさりと聡は社長となった。
しかし、頼られて悪い気はしなかった。
「では改めて……、社長の俺が仕切らせてもらいます。他に決めなきゃいけないことは?」
「お客さん呼ぶなら、店舗とか事務所とか持ってなきゃいけないよね?」
「そうだな。必要になるものを考えるか。事務所か店舗は必要として、あとは広告用のウェブサイトかな」
「会社の資金は私たちが持ち寄った五百万ずつと、マスターさんの一千万……。合わせて三千万か」
「その中で遣り繰りしなきゃいけないんだね」
「ああ、できればね。また予知夢で賞金稼ぐなら別だが」
「一応、それは最後の手段にしときましょ。やっぱりなんか罪悪感あるし」
「僕もそんなにやりたくない」
「分かった、じゃあこの金額で収まるよう、そしてずっと会社だけで食っていけるように頑張っていこうぜ」
聡の言葉にドリーマーズの面々は深く頷いた。
それから、それぞれが会社の為に動き始めた。
もっとも、手続き関係は、ほとんど聡が一人で行うことになったのだが。
貴史は手伝おうとするもののあまり役に立つとは言えず、菜穂美はあまりやりたがらなかった。もちろん高校生の友香には頼めない。
事務所の賃貸契約、法人の設立手続き、広告用ウェブサイトの外注手続きなど、聡は慣れないながらもなんとかこなしていった。
忙しさでは今までのアルバイトと大差なかったが、仕事は楽しく、全然疲れは感じなかった。
その間、貴史は情報収集と称してニュースサイト巡り、菜穂美は中の雑務を積極的にこなしていた。
友香も学校の下校時に合流しては、菜穂美の仕事を手伝っていた。
そして毎晩、WINKにてMASTER_Qへ活動報告も続けていた。
SATO_00:事務所は、坂上駅のすぐ近くにちょうどいい物件があったので、そこに決めてきました
TAKA_302:事務所にはいつから入れるようになるんだっけ?
NAMI_1212:あんたはいつも一緒にいるでしょ。1週間後って言ってたじゃない。
PapaPopo:タカ間抜け! サボリすぎ!
MASTER_Q:パパさん、タカさんの能力が仕事の肝になるんだから、そんなこと言ったらダメだよ。
TAKA_302:マスターフォローありがとう。それから予知夢の回避なんだけど、できるかできないかは半々みたいだな。
NAMI_1212:そうね、私の試験も上手くいった時とダメだった時があったわ。タカが試験場に入れれば、また別なんでしょうけどね
TAKA_302:そうだな、問題見て、事前に教えるなんてこともできそうだからな。
SATO_00:ということは、そういう客がきた場合、事前にタカさんの分も受験票取っとかないとだめですね
PapaPopo:サトー悪事に手を染める!
NAMI_1212:はあ……、パパさんリアルだとちゃんと手伝ってくれるいい子なんだけどな。
MASTER_Q:ははは、ここでもパパさんはいい子じゃないか。
SATO_00:とりあえず、来月にはドリーマーズオープン出来そうです。
MASTER_Q:うむ。サトーさんは社長らしく、立派になったね。
NAMI_1212:そうだね、サトーさんにほとんど任せっきりだわ
TAKA_302:僕も色々手伝えたらいいんだけど。
PapaPopo:タカ役立たず! 要らない子!
SATO_00:大丈夫だよ、みんなちゃんと役割があるんだから
聡主導のもと、着々と準備は進んだ。
そして三月十日、遂にドリーマーズは営業開始を迎えることになったのだった。




