真新しい絵本
王国には、おそろしい魔の力が蔓延っていました。
人々は嘆き、哀しみ、不安の中で暮らしていました。
けれど、神は王国を見捨てはしませんでした。
神々の地から送られた勇者が、魔を滅すべく現れたのです。
勇者は、可憐な戦乙女でした。
魔を倒す旅に出た彼女の傍らには、国で最も強い魔力を持つ公爵がついています。
二人は、絶望に満ちた人々を励まし、その心に希望の種を植えながら、魔を倒してゆきました。
時には、怖ろしい目にも遭いました。
時には、挫けてしまいそうなこともありました。
けれど二人は決して諦めずに、強大な魔に立ち向かい続けたのです。
そうして二人はとうとう、王国へ真の安寧を齎すことができました。
人々は幸せな笑顔を取り戻し、勇者と公爵を大喜びで祝福します。
そう、辛く苦しい戦いの間に、二人の間には固い絆と愛が芽生えていたのです。
凛々しい公爵に恋するお姫様は、本当は沢山沢山おりました。
けれどその中で最も美しく優しいお姫様は、自分たちを救ってくれた勇者に感謝して、自ら身を引いたといいます。
大勢の人に祝福されて、勇者と公爵は末永く幸せに暮らしました。
二人の英雄に守られて、王国はいつまでも平和であり続けました。
めでたし、めでたし――。