表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脇役令嬢の失恋  作者: 夕燼
脇役令嬢の失恋
1/26

別れの予兆

「あんな娘が勇者など、認めない」


 ――貴方は最初、そう言っていた。


 魔に侵食されつつあった世界を救うために、異世界からの勇者が必要だったこと。

 救世主として召喚されたその人が、平凡極まりない少女だったこと。

 この国の筆頭貴族の主であり、常に冷静沈着な氷の貴公子として知られる貴方が珍しく感情を露わにするのを、私は黙ってただ聞いていた。


 思い返せば、それはもう予兆だったのかもしれない。


 けれど私は、初めて見せて貰ったその表情がひどく愛しくて、何もかもに気付かなかったのだ。

 貴方の婚約者になってから三年。

 心を手に入れることなど出来ないと知っていたけれど、他のどの女性より傍にいることを許して貰っていた。都合が良い相手だからだとわかっていたけれど、私のことだけは不思議なほどうるさがらず大切に扱ってくれた。

 貴方は他の誰のものでもなかったから、それだけで十分だった。


 けれど。


 あの日貴方は勇者だという少女と共に世界を救う旅に出て――

 違う貴方になって、帰ってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ