+5話「D(ですから),M(マジで),C(風邪気味なんです)」
………………
気づけば、本日はクリスマスだ。
作者もビックリ。
そんなわけで、やっと九乃助、豪は自宅のアパートに帰還。
後に、二人は…。
「カニが、おいしかったっす!」
と何故か、体育会系風に答える。
だが、同時に二人には大きな試練が待ち受けていた。
………………
北海道から九乃助、豪はクリスマス・イブの午後7時、アパートの前に帰還した。
ちなみに、二人が交代交代で運転したインプレッサはボロボロだ。
たった数日で、二人の使った金額は底知れぬ。
「はぁはぁ…」
さすがに、半端ではない移動距離に二人はボロボロだ。
特に、豪の疲労は半端ではない。
「なんとか、帰って来れましたね…」
疲労困憊の豪が言う。
「ああ…、というか、さっき純太に連絡取ったら、レビンは普通にアパートに居るそうだ…。失踪などしてない…」
九乃助はそう言う。
つまり、無意味に北海道に行ってたと言うことを認めざる終えなかった。
そう言われ、気が抜けたせいか、そのままインプレッサの運転席に倒れこむ。
よっぽど疲労が、溜まっていたようだ。
九乃助は、それを尻目にアパートに向かう。
緊張感を持ちながら、アパートの階段に足を踏み込む。
………………
その様子を自室の窓からの景色で、キエラは気づく。
レビンを困らせた憎き九乃助が、数日の間を空けて現れた。
「あいつ…」
九乃助は、レビンの部屋に向かう。
なんて言うのか予想できないが、とにかく、この最悪の状況に終止符が打つ時が来た。
そう彼女は、自室の窓を眺め思う。
………………
コン!コン!
九乃助は、辿り着いたレビンの部屋のドアを叩く。
自分達を、北海道へ向かわせた例の貼り紙はない。
「いないのか…」
この無反応さに、九乃助はそう思った。
その時…。
「はーい」
やっと、レビンの声がした。
「っ!!」
その声で、九乃助は身構える。
彼女に酷い事を言ったのだ。
なにされても、文句は言えない。
覚悟をした。
ガッチャッ!と、ドアノブが回転する。
そして、ドアが開く。
九乃助は、唾を飲んだ。
静かに、ドアが開いてゆく。
これだけなのに、緊張感があった。
そして…。
「…!」
ドアが開くと、レビンが九乃助の目の前に現れた。
それには、双方驚く。
「…」
「…」
二人は、互いに沈黙した。
レビンは、目を大きく見開いて九乃助の顔を見る。
とても彼女の顔は、驚きで凍っている。
一方の九乃助は緊張のせいか、目眩がした。
同時に、吐き気、頭痛、寒気が彼の体を襲う。
よほどの緊張が、彼の体に走っているのか。
九乃助の足元がふらつく。
異様に、彼の体が寒気が襲う。
(まさか、ここまで緊張するとは…)
ふらつきながら、九乃助は思った。
レビンは、未だに大きく目を開いて驚く。
そんなに、先日のことがショックだったのだろうか。
彼女も震えている。
「九乃助さん…」
レビンが、やっと口を開く。
なにを言い出してもいいように、九乃助は覚悟した。
すると…。
「九乃助さん…、めちゃくちゃ顔が青いですよ…」
「へっ…」
レビンのまさかの第一声は、それだった。
顔が青い。
あまり言われないようなことを彼女は言った。
そして、九乃助は自分の顔に触れてみると…。
「えっ…」
自分でも驚くほど、顔が冷たい。
というか、急に悪寒、吐き気、頭痛が強烈になってきた。
鼻水も流れてくる。
これは、緊張と言うレベルではない。
「はっ!!」
九乃助は思い出した。
先日、北海道への不眠不休での移動。
そして、防寒具なしでの北海道に居た。
さすがに、これでは…。
やっと、自分が身体へのダメージの深刻さに今、気づいた。
「ふふふ…、ははは!!!」
九乃助は、涙を流して笑い始めた。
これには、レビンは焦る。
何故、笑ったか解らない。
ただ挙句の果て、このオチか…と思った九乃助は思ったのだ。
そのことを悟ると…。
バタッ!
このまま、九乃助の意識は消えた。
そこから先のことは、目が覚めるまで九乃助は覚えては居ない。
彼にとって、今年のクリスマスプレゼントは、北海道での体調不良だったことは言うまでもない。
こうして、イブの夜は更けた…。
………………
続く…
次回、完結編