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38.魔王のプランの終着点


 ガタッ!


 マオ君は椅子から立ち上がり、戦闘態勢に入った。


 ガタッ!ガタタッ!


 みんなもそれに応じるように席を立ち、構えた。

 


 ……だが俺は座ったまま、すっかり冷めた緑茶を啜る。


「おい相棒!何のんびりしてんだっ!」


「……いや、ここまで手のひらの上で踊らされてたのが癪だから……殺してやらねぇって決めたんだ。

 それに、プランでは俺は地球大統領に就任するんだろ?

 つまり、結果は必ず俺が生き残ってマオ君が死ぬって決まってるんだ、勝負にすらなってねぇよ」


 これを聞いたマオ君は驚いたような、怒ったような表情に変わり、口を開いた。


「コウ君、やはり君は素晴らしいな。

 だが一つだけ失念しているんじゃないかい?

 私に君は殺せないが、他の五人に関しては私の知るところではないという事をっ!

 喰らえっ!!」


 直後、マオ君は魔力を解放してミズナに向かって灼熱のエネルギーを放った。


「キャッッ!!」


 ミズナが声を上げる間もなく、俺はマオ君の魔力を相殺するために冷気を放出した。

 二つの魔力は、大きな爆発音を立てて霧散した。


 その瞬間、俺は確信した。

 

「……やっぱりな。

 マオ君、お前は理由もなく他人を殺める事はできない。

 今のショボい魔力がその証拠だ。

 どうせ俺に止めて欲しかったんだろ……?」


 その問いかけにマオ君は言葉を失っている様子だ。

 俺はさらに畳み掛けた。


「甘えるな! 自ら望むような死は逃げだ!

 罪を償うってことは、責任を取るってことだ!

 お前がめちゃくちゃにしたこの世界、全てケリをつけてから俺のところに来い!

 その時にまだ死にたいと思っていたなら、俺がお前を殺してやるよ……」

 

 笑顔で言うセリフではないかもしれないが、清々しい気持ちで笑みが溢れていたかもしれない。


「コウ君……、君が正しいと思うよ……。

 私はこれからは残された魔族の統治をすることを約束しよう。

 私も……、間違いをするんだな……」


「当たり前だ!人は間違いながら成長していくんだよ……。

 そしてそれは、人類史においても同じ事が言えるはずだ。

 俺たちが眠っていた千年間で起きた戦争や、その発端となったAIの技術。

 人類は使い方を間違えて衰退したが、それに気づいて今やり直してる……!

 そうして次のステージに進むんだろ……!」


 ガコンッ、キィーー。

 

 その時、部屋の扉が開き、誰かが中に入ってきた。

 その人物はパンチラティ博士、そう、俺が追放された時の裁判長だ。


「魔王さま、話はついたようじゃのぉ。」

 

 そして、その後ろに小さな影がもう一人……。


「パ……、パパ……?」


 それは、俺が追放されるきっかけとなった女の子だった。

 俺はその子のもとへ駆け寄り、抱きしめた。


「待たせて……すまなかった……!」


「マミね!寂しかったけど、必ずパパが迎えに来てくれるって信じてたヨ!」


「マミ……、それが君の名前かい?」


「うん……!」

 

「マミちゃんはとても賢い子でのぉ、ワシが教えてないのに漢字も書けたんじゃよ!

 マミって名前は、“真実”と書くらしいぞい。」


「“真実”と書いてマミか……、いい名前だ!

 ところでマミ、この爺さんたちにヒドい事はされなかったか……?」


「んーん! あのお爺ちゃん、優しかったんだよ!」


 女の子はパンチラティ博士の方を見て言った。

 博士は照れくさそうだ。


「ん゙っ、証拠品はワシが大事に預かると言ったろ?」


「礼は言うが……、預かるのはパンツだけじゃなかったのかよ……!」


「もちろん、パンツは今も大事に預かっとるよ……?

 まあ、この話は一旦置いておいてのぉ、ワシはこれからはコウ君に従うかの。

 昔からこうやって偉い人につく立ち回りで生き抜いてきたんじゃよ」


「そういう事なら、俺じゃなくて今まで通りマオ君に任せるぜ。

 いいよな?マオ君」


「ありがとう、コウ君。

 それならパンチラティ博士には引き続き古の技術の復元を頼みたい。

 私はスマホなどの便利な科学技術が悪いわけでは無いと考えている。使い方が悪いのだ。

 ひとまずはコールドスリープ技術の復元を急いでくれ」

 

「あちゃぁ、やっぱりそれか……。耳が痛いのぉ……。

 コウ君たちにも分かるように話すと、実はワシが千年前に最高責任者としてコールドスリープを行っていた時に国際警察にバレてしまいましてな……、その時に技術が葬り去られてしまったのじゃよ」


 あぁ、確かに母さんと一緒に読んだエウローペ語の歴史書にそんな事が書かれてたな……。

 その人物が人間の頃のパンチラティ博士だったのか。


 その時、パンチラティ博士が母さんの方を見て何かに気がついた。


「やや!貴女はやはりDr.サヤカではありませんか!

 貴女さえいれば、復元できる日も近いですぞ!

 ワシと一緒に研究して頂けませんかな?」


 誘われた母さんは、乗り気ではない様子だった。


「ごめんなさい……、私は……協力できないわ……。

 私の生み出した技術は、人類史上最も多くの人を殺したかもしれないの。

 私には、そんなの復元しようなんて思えないわ……」


「母さん、自分を責めないでくれ……。

 マオ君も言ってたが、使い方が悪かっただけだ……。

 父さんだって人類の知能を低下させるためにスマホやAIの開発をしてた訳じゃないだろ?」


「そうは言っても……、お母さんのコールドスリープの研究は誰も幸せにならなかったわ……」

 

「何言ってんだよ! 少なくとも、俺は幸せだったぜ!

 本当は冤罪でそのまま死刑で終わる人生だったが、コールドスリープのお陰でこうやって今も仲間に囲まれて生きてる……!」


「ありがとう、コウ……。

 でも、少し考える時間をちょうだい……」


 ……やはり、母さんの中ではコールドスリープに関しては強い後悔と自責の念を感じているのだろうな。


 今すぐの説得は難しいだろうと考えていると、マオ君が母さんに語りかけた。


「Dr.サヤカ、安心してください。

 私は復元した技術の使い方はコウ君に判断してもらいたいと考えています。

 それでもご協力は難しいですか……?」


「分かったわ……。

 でも、気持ちの整理がつくまで待ってくれないかしら……?」

 

「そこはもちろんです。Dr.サヤカ。

 どうぞ、時間をかけて考えていただきたく思います」


 ……とりあえず、話はまとまったかな?


「マオ君、他に話すことはあるか?

 なければあとは、国王にこの事を報告すべきだと思うんだが、ついてきてくれるか?」


「ああ、私も今の国王にお会いしたいと思っていたよ。

 ぜひ、連れて行ってくれ。

 私が留守の間、魔界はパンチラティ博士に任せるが、大丈夫かい?」


「もちろんですとも、魔王さま!

 ワシに任せんさい!」


 俺は抱きかかえていたマミにも聞いた。


「マミも、俺たちと一緒にお家に帰るかい?」


「うん!パパのお家行ってみたいっ!」


「よしっ!じゃあみんなでエウローペに帰ろう!

 重量オーバーとか、ないよな……?」


 俺たち八人はエスポワールに乗り込み、出航した。

 地上ではパンチラティ博士が手を振ってお見送りをしてくれていた。


「みんな!時差込みで朝方にはエウローペに到着する予定だ!

 国王の宮殿に直接向かうから、今のうちにしっかり寝ておくように!以上!おやすみっ!

 まあ起きててもいいが、みんな仲良くするんだぞ!」


 俺は自動飛行モードに切り替え、眠りについた。

 疲れてとにかく寝たかったのだ。

「面白かった!」「続きが気になる!」と思ったら、  


 下にある⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎から、作品への応援をお願いいたします!(つまらなかった星一つで大丈夫です。)  


 どんどん投稿しますので、ブックマークも是非ご利用ください!  


 ※作者は特級の声優ヲタです。キャラクターの脳内再生CVなど、お気軽に自由なコメント待ってます!

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