33.撃沈、エスポワール号
「ぐっ……、ダメだ!不時着するしかない!
みんなしっかり掴まってろよ!!」
ドッシャァァァ!!!
「ひゃぁあ!怖いのです!怖いので〜す!」
しばらく大地を滑り続けて機体は横転した。
中は物がぐちゃぐちゃだ……。
機体が停止すると、ヒラヒラと俺の顔面に白い布が降ってきた。
「……ん?なんだコレ……?
なんか芳ばしい香りが……」
「あっ!コウっ!それ昨日のアタシのパンツなのよ!
まだ洗濯してないからダメ〜ッ!!」
「す、すまんっ!ミズナ!
……にしても、派手にやられたな……。
なんとか平坦な場所は選んだが、みんな無事か?」
「あ、あぁ……。みんな生きてるぜ。相棒」
後ろを見ると、ヒルクは全員を守るようにひっくり返って倒れていた。
「さすがうちの守護神だぜ。ありがとな、ヒルク。
けど、とりあえず今すぐここから離れなきゃだな。
きっと撃ち落としたヤツらがすぐに集まってくるはずだぜ……!
一旦あそこの廃墟に身を隠すぞ!」
俺たちはエスポワールを降り、近くの三階建ての建物に入った。
中に入ると、とある疑念が確信に変わった。
「この建物……、やっぱり昔俺が通ってた小学校だ……!
ほらっ、ここの教室の壁の傷さ……、」
小学生の頃の思い出をみんなに語ろうとすると……、
コツコツコツ……。
(足音だ。三つくらいか……?
みんな、今はとにかく息を殺すんだ!)
「へっ……、へっ……、」
(おいヒルク!お前まさか、くしゃみが出そうなのか……⁉︎
耐えろ……! 耐えてくれぇぇ……!)
「へっ……、へぁっくしょん!!」
俺の必死のテレパシーも虚しく、静寂の中に一つのへぁっくしょんが響いた。
それと同時に、さっきの足音の主たちが走ってこちらに向かってくる。
(仕方ないっ、みんなで迎え撃つぞ!
ヒルクを先頭にいつもの陣形になるんだ!
アリエッテは透明化して校庭に先回りだ!)
そうテレパシーを送ると、間もなく教室のドアが開け放たれた。
ガラガラッ!
姿を現したのは……トップだ。
後ろにはアネモネとゲイルもついている。
「よお、やっぱコウだろ? 久しぶりじゃねぇか。
なぁにコソコソやってんだよ。
それより、俺のプレゼントはどうだったよ?」
「俺たちの乗り物を撃ったのは……トップ、貴様なんだな……!」
「わりぃな。楽に殺してやれなくてよ。
もう少し魔力を上げて撃てばよかったぜ!」
「ふっ……、俺の方こそ先に謝っとくぜ?
貴様は楽には死なせねぇからよっ……!」
「ほざけぇぇぇ!クソガキがぁぁ!!」
トップは予想に反して、俺ではなくヒルクに向かって一気に走り出した。
「その大盾……、お前がコウの新しいパーティのガードだな……!
俺は真正面から戦うのが好きなんだよ……!
まずはお前から潰れろやぁっ!!」
トップは掌を振り下ろすが、ヒルクは盾を頭上に構えて受け止める。
「ぐ……、お、重てぇ……!
トップは片腕でヒルクを押し潰しながら、俺を挑発する。
「コウ……、テメェには仲間全員の死に顔を見せてからじっくり殺してやるよ……!」
「下衆が……! 凍てつけぇっ!!」
俺は怒りで我を忘れて特攻した。
その時、アネモネの背中にチョウの翅が生えた。
「トップ団長!パワーアップパウダー、行くわよ!」
そう言うと、アネモネの翅から赤い輝きを放つ鱗粉が舞い、トップを包み込んだ。
「遅ぇぞ、アネモネ……!
コイツでぺちゃんこだ!死ねぇっ!!」
盾で頭上からの圧力に耐えるヒルクの足元の床は、あまりの衝撃でヒビが入っていた。
「ヒルク、もう少し耐えててくれ……!
トップ……!貴様はくたばれぇぇ!!」
俺はその隙に両手に全力の冷気を込め、トップの顔面を掴みにかかった。
「テメェは最後だって言っただろうがっ!」
トップはそう叫び、逆に俺の頭を掴み返した。
……つ、潰される……!
そう思ったのも束の間、トップは俺を黒板に向かって投げ飛ばした。
黒板は壁もろとも破壊され、二つの教室が繋がった。
……くそっ、完全に遊ばれてるな……。
戦場を校庭に移したいが、そんな隙ないぞ……!
そんな事をしてるうちに、ミズナとユータンと母さんはゲイルに襲われていた。
「三人まとまってもこんなもんだすか?
オラ、そんな攻撃効かないだすよ?」
水撃、剣、火炎、その全てはゲイルの皮膚一枚で防がれていた。
「んー、とりあえずオナラでもしとくだすか?」
暇を持て余したゲイルはブビュッと小さな放屁音を漏らした。
すると、その音に反応したアネモネはその翅で強烈な匂いのガスを俺たちの方へあおいだ。
「ちょっとゲイル!アナタ今オナラしたでしょ!
んもうっ、臭いんだから部屋の中では我慢なさいよっ!」
むぐっ……!
強烈な悪臭でめまいと吐き気が……!
怒りで我を忘れていた俺は、逆にゲイルのオナラで冷静さを取り戻し、トップの近くにいるヒルク以外はみんなオナラでダウン寸前な事に気づいた。
てか、今のヒルクはなんか余裕そうに見えるぞ……?
(ヒルク……!
一瞬でいい、スタンガンをトップに浴びせて...その隙に窓を破壊してくれ……!)
「了解したぜ!相棒!」
ヒルクは俺の方を見て余裕のウィンクをした。
そして、左腕でトップの攻撃を抑えながら、右手でスタンガンを浴びせた。
「ぐあっ! で、電撃か!
人間のくせに調子に乗んじゃねぇぞ!!」
その閃光はいつもより若干激しかった気がした。
……そうか! ゲイルのオナラは引火性なのか!
ヒルクはトップが痺れて動けない間に、盾で教室の窓ガラスを全て割った。
千年前なら停学必至の激ヤバ行為だ。
破れた窓ガラスから新鮮な空気が一気に入ってくる。
「オラのオナラ、飛んでっちゃっただす……」
(みんな!破れた窓ガラスから校庭に逃げるんだ!)
そうテレパシーを送ると、全員で窓から大ジャンプし、校庭に降り立った。
最後にヒルクが華麗な着地を決めると、フンッと力を入れてポーズを取った。
胸筋が膨れ上がると、服のボタンが弾け飛んで立派な胸毛を見せつけられた。
「なぁ相棒、俺の身体見てみ?
さっきから力が溢れて止まんねぇぜ……!」
「そうか……!さっきアネモネがオナラをあおいだ時にパワーアップパウダーがヒルクにかかったのか!
っと、追ってきたみたいだぜ……!」
トップたちも俺らを追って校庭に飛び降りてきた。
「ザコの癖にちょこまかと……!
ゲイル!アネモネ!テメェらも邪魔ばっかしてんじゃねぇぞゴミが!」
トップが怒りを露わにすると、なんとアリエッテが姿を晒してしまった。
「アネモネって名前……。 その綺麗な髪……。
もしかして、お母さんなの……?」
「アリエッテ!なんで姿を現した!」
俺が考えていた作戦では、まだアリエッテの出番ではなかった。
アリエッテの姿を見つけたトップはニヤリとした。
「ほぉ……、お前も裏切ってたのか、透明のガキ。
初めて姿を見たが、本当のメスガキじゃねぇか。
じゃあまずはお前から死ねやぁぁ!!」
トップは、その巨体に似合わない大きな跳躍でアリエッテに近づき、猛々しい爪で腹部を貫通した。
「がはっ……」
お腹に大きな穴の空いたアリエッテはトップに投げ捨てられた。
「アリエッテ……、アリエッテェェェ!!」
みんなアリエッテの名前を呼ぶが、一際大きな声で叫んだのは、他ならぬアネモネだった……。
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※作者は特級の声優ヲタです。キャラクターの脳内再生CVなど、お気軽に自由なコメント待ってます!




