24.ネコの魔族と激闘の末
ミィは母さんの心臓を突き破り、ニタリと笑った。
……が、その直後。
「ぎにゃぁぁぁ!!熱いっ!熱いにゃぁぁぁ!!」
「それは炎で具現化した私のダミーよ!」
その声と共に、母さんは上空から姿を現した。
「ごめんなさい……。
貴女も私の研究の犠牲者なのよね……。
せめてこのフレイムアローで安らかに逝って……」
母さんは空中から炎の矢を降らせ、ミィの身体に無数の火傷を負わせた。
「ぐっ!熱ぃ……にゃ!」
(今だっ!ヒルクは電撃!動けなくなった所にトドメだ、ユータン!)
「おうよ!喰らいやがれネコ女っ!俺の稲妻を!」
ヒルクはスタンガンから青白い火花と共に強烈な電流を開放した。
「んっ……んっ!まだ終わ……りじゃ……ないにゃ……」
ミィは白目を剥き、ビクビク痙攣して失禁している。
「これで終わりさねっ!はぁぁ!!」
ユータンは一度のステップでミィの目の前まで距離を詰め、首をはねようとする。
「ぎにゃぁぁ!」
しかし、ミィは力を振り絞り、ギリギリのところで急所を回避した。
ユータンの魂を乗せた剣の一振りはミィの左腕を落とす結果となった。
「……はぁ……はぁ、今のでボクを仕留められなかった事……後悔するにゃん……。
……燃え尽きろにゃぁぁ!」
ミィは残された右腕をユータンに向かって構え、残りの体力全てを込めた火炎を放出した。
「コウ……。アンタの力、借りるさねっ……!
凍てつけぇぇぇっ!」
すると、ユータンの左手に装着したフリーズグローブから凄まじい冷気がほとばしった。
火炎と冷気は衝突し、爆発音を立てて霧散した。
力を使い果たしたミィは意識を失い、ぐったりと目を閉じて倒れた。
「惜しかったな、ネコちゃん。アンタの負けさね。」
「なん……で、ミィがこんなザコ共に……負けるにゃ……」
「せめて、楽に逝きな……!」
ユータンの剣は今度こそミィの首をはねた。
地面に落ちたミィの頭は意外にも穏やかな表情でこちらを見ていた。
「た、倒したのよっ!アタシたち魔族をっ!」
「いや、様子が変だぞ……!
まだ終わりじゃない!来るぞっミズナ!」
頭部のないミィの身体がマリオネットのように動き出し、ミズナに襲いかかる。
が、もはやその跳躍に思考はなかった。
「そんな直線的な攻撃、効かないのよっ!」
ミズナはそう言うと、ジェットパックで身体を浮かしながら、水流でミィの身体を何度も狙撃した。
「あとは俺に任せろ!」
俺は意識を両手に集中させる。ベチャッという音と共に地面に叩きつけられたミィの身体を完全に凍らせるために。
その瞬間、ヒルクに優しく肩を叩かれた。
「……相棒。もう流石に死んでるぜ……」
ミィが着ていた服はボロボロに破れ、身体は動かなくなっていた……。
俺たち、魔族を倒せたんだ……!
周りを見ると、みんな新しい装備に大満足の様子だ。
しかし、その瞳には確かに疲労の色がにじんでいた。
「みんな、よく頑張ったな。
作戦通りに行かなくてすまんかった……」
「相棒のせいじゃないぜ。
俺が奴の行く手を阻めなかったんだ……」
「ヒルク君はよく頑張ったわよ!
止められなかったのは、魔族相手だし仕方ないわ」
「アタシはね、とにかくみんな無事で良かったって思ってるのよっ!」
そう言うとミズナは俺の頬にキスをした。
「ちょっ、ミズナ!母さんもいるんだぞ……!」
「んまぁっ!ミズナちゃん大胆ねっ!」
「えへへっ、キスしたくなっちゃったのよ。
作戦通りには行かなかったけど、コウが臨機応変に対応してくれたからみんな助かったのよ!
ありがとうね……!」
「にしても、ウチ驚いたさね!魔族ってのは首をはねてもしばらく動くもんなのかい?」
「アタシもビックリしたのよっ!コウが言ってくれなかったら危なかったのよ……」
「でも、なんでミズナちゃんが狙われたのかしら?」
「確かにサヤカ様の言う通りだぜ。
魔王の命令を遂行するためなら、相棒を狙いそうなもんだが……」
「おそらく、あのネコ女は魔王の命令より俺の目の前でミズナを痛めつけたいってのが本心なんだろうな。
俺にフられて、かなりショックだったみたいだぜ。」
「なぁるほどなぁ……。女の嫉妬は怖いぜ……」
「あの状態になったら理性もクソもないのかもな……。
よっし!そろそろエスポワールに戻るか!」
俺たちはまた空へと飛び立ち、さらに魔界へ向かって進んだ。
◇
ミィとの激闘から三日経った。
俺たちは今、海沿いを飛んでいる。
ゴブリンは明らかに数を減らし、ここ二日で十体も見つかっていなかった。
エスポワールを操縦していると、後ろで母さんが話し始めた。
「結局、あのネコの魔族以外にも魔王から私たちを倒す命令は出ているのかしら?」
「サヤカ様。俺も同じ事を考えていました。
他の魔族、全く姿を現さないですよねぇ……」
「でも、それよりもウチ、気になる事があるのさ。
昨日と一昨日で討伐したゴブリン、前よりも手強くなってるんさね……」
さすがはユータンだ。
常に近接戦闘をしてるだけあって、いい所に気づいてたんだな。
「アタシ、ちょっと考えたのよ!
理由はハッキリ分からないけど、ゴブリンは魔界を目指して行動してて、その競争に敗れた弱い個体が人間界側に辿り着いてたんだと思うのよ」
「まぁ、難しい事は俺にゃ分かんねぇや。
それより、腹減ったなぁ。そろそろ昼飯にすっか。
今日の当番、誰だっけか……?」
「はいはい〜っ!アタシなのよっ!」
「ミズナだったか!じゃあ、準備頼むぜ!
って、ミズナ履いてるそれって、もしかしてコウが大好きな例のミニスカじゃねぇかぁ?」
「ヒルクっ!母さんがいる前でそんなの話すなよっ!
恥ずいだろ……!」
ミズナのやつ今日はミニスカ履いてたんだな……。
もしかして、俺のために持ってきてたのか……。
その心遣いがエロいっ!
「アタシのミニスカ、可愛いでしょ!
けど一番最初はコウに気づいて欲しかったなぁ……?
って、あれ?ちょっとおかしいのよ」
食糧を準備していたミズナが何かに気づいた。
「ねぇみんな。食べ物の減りが少し早い気がするのよ。
心当たりあったりする?」
「確かにそうさねぇ。
誰かがこっそり食べてるとかかねぇ?
なあ、ヒルク」
「おい姉貴!なんで俺に言うんだよ!
俺だって食べてぇけど我慢してるんだぜ……?」
ぐぅぅ、とヒルクの腹の虫が鳴いた。
「ほぉら、腹なっただろ?
とにかく、俺は知らねぇっ……ての……。
……姉貴。ちょっと窓の外を見てくれ……」
「なんだいヒルク〜。話逸らすのかい?」
「あ、あれって……」
いつもなら姉のユータンと痴話喧嘩をする流れだが、ヒルクは驚きのあまり言葉を失っていた。
「アンタそんな顔して、一体どうしたんだい?」
ユータンもヒルクの様子がおかしい事に気づき、心配をしているようだ。
そして、窓の外を覗き込むと、ヒルクと同じ反応をした。
「あのゴブリンが巻いてるのって……、母ちゃんのスカーフかい……?」
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