【500文字未満】嫌いな真美子は親友だ
500文字未満の超短編です。
電車待ち、エレベーター待ち、お湯沸騰待ちの間にどうぞ。
真美子が嫌いだ。
あの大きなたれ目、鼻にかかった声、柔らかそうな体。全部が嫌いだ。
私を見つけると、真っ先に飛んできて抱きつく真美子。名前を呼んで、上目遣いで私を見る真美子。
その満面の笑みが嫌いだ。
突き飛ばした私を、何が起こったのかわからないという顔で見る。その大きな目に涙が溜まり、零れる。
綺麗すぎるその泣き顔が嫌いだ。
真美子は、周りの女子に囲まれて慰められる。
それでも決して、私の悪口は言わない。
「人が良すぎ」「今日から私たちのグループにおいで」と連れていかれる真美子。私を気にしながらも女子たちについて行く。その唇が動く。
――ゴメンネ。
やっと真美子に友達ができた。嫌いだ。
真美子の男と寝た。
真美子が初めて付き合った男は、簡単に私に靡いた。
私を責める真美子の顔は、息をのむほど美しい。嫌いだ。
あの男には本命の彼女がいる。すぐ騙される真美子はバカだ。嫌いだ。
やっと男と別れた真美子の、やつれた横顔は儚い。
嫌いだ。
私は真美子が嫌いだ。
世界でいちばん幸せになってほしい。嫌いだ。
こっわ!
何これ、ドロドロ?! と思われた方も、大きな声ではいえないけどワカリミシカナイと思われた方も、いいねや評価をしていただけたら幸いです。