仮定
目の前には、進路希望書。そして、空欄ばかり。私は何になりたい…?どの大学に行きたい…?ずっとそんなことが、頭の中でぐるぐるしている。
「はい、書いた人は今持ってきてー。もし書けん人がおったら、来週の月曜までには持ってきてねー」
先生のそんな言葉が聞こえる。周りの人はどんどん提出している。皆凄くない…?そんなすんなり書けるもんなの…?私は、どうやらまだ路頭に迷っているらしい。
「…ーい、ぉーい…藤和ー」
「は、はい!」
私は名前に呼ばれていたことに、すぐには気が付けなかった。どんだけ思い悩んでるんだろ…」
「この後、進路指導室に来てください」
・・・あーあ。
「うん…相変わらずなんだね、書けないのは」
いつも通りだな、そんなことを考えながら、私は先生と話していた。
「やっぱり、進路って悩みますから…」
「そうだね、これからん事なんて、誰もわからんかいね」
先生は、私に共感してくれている。
「…すみません、決められなくて」
「いいんよ、決められんことは。それが悪いことなんて、誰も思っちょらんかい。ただ、聞きたいことがあったとよ」
「聞きたいこと…?」
そういうと、先生は少し考えてから、「藤和さ…」と言った。
「自分がこうなったら、こうなるかもなって、考えたことある?」
先生に言われて、少し考えた。そして、気が付いた。
「…ないです」
私は、これからの未来、やりたいことをやる、だから、今好きなことから、一つに絞ろうと考えて、結果、今だ。
「だからさ、一回考えてみたら?」
「…将来の自分が、何をやっていたら、こうなる…とですか」
「そう。君の好きな、数学と同じお話だよ。解を求めるためには、君自身がこれまで見てきたものから、その知識を絞り出して、結果を見ては、この式が違うよな、これはあってるよなって…示してごらん?」
自分の人生の解を、探してみる…
「…やってみます!」
「仮定」を読んでいただき、ありがとうございます。
この小説はとても短い小説となっています。なんなら、3話目で完結します。
なぜかって・・・?もちろん、皆様のその有意義な時間を、私のこの小説で有意義にするのは少しでいいからです。特に、この小説を読むのは、きっと、というか、そうであってほしい、これからに悩む「あなた」でしょう。
私自身、自分のこれからなんて、何もわからずに生きています。人生の終わりにさえ、まだたどり着いていない。果てしなく長い、そう思っています。
その「果てしなく長い」人生の、ほんの少し、有意義な時間を奪う。だから、ほんの少しでいいんです。この小説を読んで、読み終わった後、自分の解を、示してみてください。そのために、時間を使ってください。
こんなこと言ってますが、私もまだ、解を求められていない。まあ、いつか答え合わせができたらいいですね。
次のタイトルは、「解法」です。
藤和が、いろんな職に就いてみます。あ、実際私も照らし合わせながら書いてます。
藤和由利の、ある意味ちょっとした冒険に、お付き合いください。