表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

動機

 動機は十分だ。

 金さ。

 江戸川乱歩賞の副賞、500万。

 起死回生。

 僕の人生は、一転する。

 好転までは望まない。

 正常化。

 普通に生きられれば、それで良いんだ。

 ここまで追い詰められたら、どんな方法を選択したって茨の道。

 それなりどころではない、辛い明日は不可避だ。

 ならば、今やってる事の延長上にある可能性を探るのが、いちばんの近道な気がする。

 この「気がする」は他の人の事はわからないけど、僕にはとても重要だ。

 あまりに鈍感な僕が何かしか「気がした」時、例外なくそうなっている。

 察知能力の欠落が、状況が完全にそうなった頃にやっと、僕に「気がさせて」いるのだろう。

 だから今までダメな「気がした」時、本当にダメになり続けて今日がある。

 ただ、死んじゃいそうな「気がした」時は死ななかったからまだ生きてるわけだけれど、その「気がする」は今も継続中だから、まだわからない。

 一種の予知能力であろうか。

 そんなわけで、なんとなく各文学賞の応募要項を眺めていたところ、小さいものでも50万、太宰治賞は100万、そして江戸川乱歩賞は、なんと500万。

 しかし、この5月から書き始めて、やすやすと穫れる賞ではないであろう事は、なんとなくわかる。

 太宰治賞で前年度の応募作品数は1000を超える。

 レベルも高いのだろう。

 しかし、たまに読む各賞の受賞作品を、僕は面白いと感じ読み進め、読了出来た試しがない。

 読んではみるのだけれど。

 自信は、ある。

 かもしれない。

 だが困った事に、僕は文学自体を知らない。

 推理小説など尚更読まない。

 優れた純文学は、読者の推理欲求も満たすと思ってるから。

 だからジャンル分けされる様な作家の作品は読まないし、安吾の推理モノすらなんだか手付かずだ。

 嫌悪感がある。

 だから、推理小説、というものを、おそらく書けないだろう。

 しかし、僕は本気だ。

 本気で500万が欲しいんだ。

 無きゃ困る。

 八方塞がり。

 そんな時、人は犯罪を犯すのだろう。

 なんだか、そんな気がする。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ