第9話 敗北
「ただいま!連れてきたよー」
「あら、ドラゴンさんを連れてくると言ってたのに可愛い子を連れてきたわね。」
お母さんは少し驚いていたけど、にこやかな顔でいつも通りの笑顔で出迎えてくれた。
「はじめまして……セレナ・ブルックです。セルリアさんにはお世話になってます。」
「まぁまぁ、とっても礼儀正しい子。これからここに住むのでしょう。汚い所だけどゆっくりして行ってね。もうすぐお父さんも帰ってくるからご飯は少し待っててね。」
そう言って奥へ入って行くお母さんの手伝いをするべく私もキッチンへ向かおうとしました。
「あー、セレナさん。先にお風呂入ってきて下さい。外に居たのだから綺麗になって美味しいもの食べた方が気分いいじゃない?」
「それもそうだね。じゃあ私も入ってくるね。」
「ええ、綺麗にしてあげてね。」
私は呆けているセレナさんの手を引いてお風呂場へ連れてきます。
「……なんだここは?」
「お風呂だよー。」
「人間は水浴びをするのに一度水を温めるのか?」
「そうだけど……ドラゴンさん達はお湯には浸からないのですか?」
「そんな面倒なことをする必要ないからのぅ。身体が汚れれば滝へ身体を突っ込む。わざわざお湯にはせん。」
「じゃあ初お風呂だね!」
私は服を脱いで身体にタオルを巻きます。同性でも流石に恥ずかしいので……しかしセレナさんは服を脱ごうとしませんでした。
「あれ?セレナさんお洋服脱がないとお風呂入られませんよ?」
「これは我のウロコじゃ。じゃから脱ぐ必要ないのだ。」
「ですが、濡れると乾かすの大変ですよ?」
私は少しセレナさんの服を濡らしました。するとやはり衣類である事には変わらなかったので服を脱いでくれました。
「お主は何故体に布を巻いておる?」
「えっ?恥ずかしいからです。」
私がそう言うとセレナさんは急にニヤニヤし出します。
「我だけ裸なのは不平等じゃ!お主も脱げ!」
「きゃー!」
私はタオルを取られた事により醜態を晒す事になりました。セレナさんはとてもスタイルが良いので私の完全敗北でした。
「これはなんじゃ?」
「石鹸です。身体の汚れを落とすのに良いんですよ。」
「なんと、人はそんな事をしているのか。我らも見習わなければ。」
「ふふふ。では、今日は私が洗ってあげます!」
「なんと!いいのか?」
「はい!」
私は湯船からお湯を掬い石鹸を使って泡だてます。
「おおー……あの硬い石の様な物が白くて柔らかそうな物になったのー。」
好奇心旺盛の様で私が泡だてた泡を興味深く見ています。その泡だてて泡を優しくセレナさんの肌へ持っていき広げます。
「ちょっ!前は自分でやる!」
「遠慮なさらずに!」
そうこれは先程私のタオルを剥ぎ取った復讐でもあります。華奢なのに出るところはしっかり出てる。なんとも妬ましい……
「ハァハァ……お主良い度胸しておるのぅ……」
「何の事ですか?滝に体をつけて洗うだけしかしてこなかった方に丁寧に体の洗い方を教えただけですよー?」
「そのニヤニヤした顔が全てを悟っておるぞ!まぁ良い……今度は我がセルリアを洗ってやろう!」
「大丈夫ですよ!私は自分で洗えますから!それの怪我人にお世話されるわけにはいきません!」
私は立場を主張して逃げようとしました。だけどそんな言葉が通用する相手ではありません。私はされるがままに体を堪能させてしまいました……
ここまで読んで頂きありがとうございました!
次回更新もお楽しみに!
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