第49話 意外
「意外じゃな。」
「何がですか?」
セレナさんの言葉に私はあっけらかんと帰します。
「セルリアの事じゃ、あそこまでボロボロにされているのならもう十分と言うと思ったのでな。」
「……私が決める事ではありませんし、恐らく私が死ぬまで許せないかもしれません。カスミ先輩もまだ治るとは言えませんから。」
「セルリア自身はどうなんじゃ?」
「私ですか?」
セレナさんは近くのベンチに腰掛けて話を続けます。
「今回の一件、セルリアとて被害者じゃ、なのにお主は自身への事柄にはあまり怒っていない様に見える。」
「……どうなんでしょうね。正直分かりません。」
私は空を見上げて少し考えます。
「そうですね。私自身はあまり怒っていないのかもしれません。」
「そうなのか?」
「はい、私はこうして五体満足に生きていますし、まだお医者さんとしても働けます。しかし先輩は私を助けようとして死にかけました。それに私も怒っています。」
「他人の為に怒るか……我には理解出来んなー。」
能天気に言っているセレナさんに例え話をします。
「私が誰かに傷つけられたらどうしますか?」
「無論殺す。」
「セレナさんも他人の為に怒ってるじゃないですか?それと同じです。」
「セルリアは他人ではない家族じゃ、家族を傷つけるのは許されるはずがなかろう。」
まさかの切り返しに少し驚きます。私はいつからセレナさんの家族になっていたのでしょうか。
「あの……私たちまだ家族ではないですよ。その……恋人のはずですが……」
「何を言う、もう我ら立派な家族じゃ、衣・食・住を共にしておって家族ではないとは言わせんぞ!」
セレナさんの感覚は時に壮大だと思う。でも、もうすぐ家族になるのは事実なんですね。
「セレナさん式を上げたら何処に居を構えますか?」
私は笑って言うとセレナさんはすぐに笑って返しました。
「何処でも良いじゃろう!2人で居られるのならばな!」
私も同じです。そう言ってセレナさんの頬にキスをするのでした。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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