第47話 お爺様
里の最奥にセレナさんの家がありました。
「ここが我の実家じゃ!」
「あの、私が来る事は?」
「伝えとらん!だがいずれ連れてくるとは言っておったぞ!」
「きゅ、急には流石に……私無礼ではないですか?食べられたりしませんか?」
「そんな事はせん!我らは敵対する人間は食うが友好的な人間までは食わん!」
少し怒られましたが本気ではなさそうですし、安心はした。
「し、失礼しました。でも、セレナさんの両親は居られるんですか?」
「……知らん!まぁいなかったら里の観光に連れ回すから良い!」
笑いながらセレナさんは扉を開いた。そして中には少し年老いた男性がいました。
「なんだセレナか?」
「おおー、お爺様が居られるとは驚きました!今日は起きて大丈夫なのですか?」
(あれ、この声聞いた事がある様な……)
「孫娘が帰って来たと里の者が騒いであるんだ。息子達が出かけておる以上ワシが出迎えなくてどうするのだ?」
「ええー、2人とも出かけたのですか⁉︎」
「あぁ、今朝早くな、南の里が人間どもと戦争し出しそうなんでな。和解の為にこちらの国の王族と和解を取り繕いに向かった。半年は帰らんぞ。」
「ええー!この前帰った時にはそんな話なかったじゃないですか!」
「しておったぞ。お前が飯を食うのに夢中で聞いてなかっただけじゃろう?」
「てへ?」
「誤魔化すな……して、そこの娘は?」
やれやれと言う感じのセレナさんのお爺様。いつものことなのだと思い気が少し緩んだ所にお爺様は鋭い視線を私に向けました。
「我の嫁じゃ!」
「このバカ孫がー!」
ものすごい怒声に私は一瞬意識を失った。まぁそうですよね。異性ならともかく人間のしかも女の子を捕まえて嫁なのだからこれは完全否定されると思いました。しかし……
「貴様と言う奴は!順序というものを知らんのか!まずは彼女じゃろうが!親にも紹介せず嫁にする非常識がどこにおるんじゃ!」
(あれ?そっちなのですか?)
予想の全く斜め上の説教に困惑を隠しきれない私にセレナさんは普通に話して返しました。
「しかしですねお爺様、私達は愛し合ってます。ならばもう嫁でも?」
「お前の両親が反対したらどうするんじゃ!しないと思うが……」
「反対しませんよ。我の方が強いからのぅ!はっはっはー!」
「はぁ……娘さん、こんなバカな孫娘じゃけどよろしいかな?恐らく相当迷惑をかけてきたんじゃないか?」
私は少し考えて……
「……まぁはい……そうですね。」
「セルリア⁉︎」
「でも、それ以上に助けて貰っていますし、愛しています!」
少し困惑する顔が見たかったので一度肯定してみたのですが予想以上の困惑顔が見れました。そしてフォロー後のドヤ顔は少し……カッコよく見えました。
「ならばワシからは言う事はない。セレナよ……幸せにしてやるんじゃぞ!」
「普通逆じゃないですか⁉︎私を幸せにしてあげてくれって言うところじゃろう!」
「貴様は破天荒でいつ何時も幸せじゃろうが!」
ワイワイと揉める中私はせれなさんのお爺様に先ほどから持ってる違和感の質問を投げかけた。
「あの、セレナさんのお爺様。」
「あぁ、ラシアじゃ。何だねセルリアちゃん。」
ちゃん呼びは久しぶりでした。子供の頃以来です。
「あの……私とどこかでお会いしましたよね?」
ここまで読んで頂きありがとうございました!
次回更新もお楽しみに!




