第42話 共感
私と先輩の推し問答が終わった後、しばらく談笑しているとセレナさんが部屋に入ってきました。
「おお、ここにおったか。」
「あ、起きられましたか?」
「あぁ、セルリアよ。ちょいと席を外してくれんか?」
「えっ?なぜですか?」
「セルリア。聞いてあげなさい。」
先輩からも言われては席を外すしかありません。
「では、少し外へ出ていますね。」
私はそう言って病室を出て行きました?
「こうやって2人きりで話すのは初めてかしらね?」
「そうじゃな。だが前置きはいらん。本心を話そうではないか?」
我はカスミと2人で話をする為にここへ来たのだ。
「そうね。それでセルリアと結婚するの?」
「無論じゃ。」
「セルリアが死んだ後はどうするの?」
「考えとらん。今はセルリアと共に居たい。それだけじゃ。」
「……あの子が死んだらまたほかのドラゴンや人間と結婚するのかしら?」
「1000年も生きればそうなるかもしれんな。」
「なら……私は認めないわ。あの子は私が貰う。」
「なに?」
我は殺気を纏った。しかしそんな事は関係なくカスミは淡々と続けた。
「あの子には幸せになってほしい。それなのにあの子が死んだら他の子になびくなんて私はそんな事許さない!」
「まだなびくなどとは言っていないぞ!ただ寂しさは紛らわせんし……ドラゴンは何度も恋をし結婚をするもんじゃぞ!」
「種族の文化なんか知らない!あの子を悲しませるなら私が許さないのよ!」
言いたい事は分かる。そして先程もそれをセルリアと話したばかりで2人で納得した結論を出した。だからこそ此奴に認められる、認められないなど関係ない。本来ならば……
「その言葉はお主もセルリアが好きだからのものだな。」
「そうよ。半端な覚悟であの子を傷つける様な事は許せないの。私ならあの子を幸せにしてあげられるもの!」
「それはお主が決める事じゃないと思うぞ。あくまでそれはセルリアが決める事じゃないのか?」
「……そうよ……分かってる……分かってるけどあの子が死ぬ時後悔するんじゃないのかって……あなたを置いて逝く事を。あの子は普通の人の100倍優しいの。だから死ぬ時に絶対後悔するのよ。自分の無力さに……」
「それはセルリアのせいではなかろう。生物として違うのだから。」
「はぁ……あなたはセルリアを分かってないわね……セルリアはなんとしてもあなたと死ぬまで生きようとするわよ。それこそ人間の限界120歳を迎えようとも。」
「……まさかとは思うが寿命を延ばそうという話か?」
「あの子が生涯をかければ出来るかもしれないわね……天才だもの。これまでにも治せない病気を治してきたもの……あの子ならやりかねないわよ。誰かの為にって力は底なしだからね。」
カスミさんの話が脅しとは思えなかった。何故なら我を治す為にも相当勉強してきた。そして怪我をも厭わなかった。
「やりかねんな……」
「でしょ……」
ここで共感し合う辺りセルリアが無理をしてるのがよく分かるのだった。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
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