第4話 猛勉強
私が家に帰ると両親は凄く驚いていました。当然です。そして全てを話しました。クビになった事も、借金を背負わされた事も。そして父が一言……
「セルリア……本当に身に覚えがないのだな?」
「はい!私には身に覚えがありません。」
「ならば、ここにいなさい。お前は今まで本当に親孝行な娘だ。そしてあまり私たちに苦労もかける事もなく育ってくれた。そんな娘の言葉を信じない通りはない。お金も何とかしよう。セルリアが返せる時に私たちにまた返してくれればいいから。」
父の一言に私は泣きました。罵倒されて追い出されてもおかしくないのに……そして泣いてる私を母が優しく抱きしめてくれた。
「大丈夫よ。セルリアは私たちの大切な娘なんだから。例え世界があなたの敵になっても私たちはセルリアの味方よ。」
私は散々泣いてスッキリしました。その後は久しぶりに母の手料理を食べました。
私はその夜からドラゴンの身体の仕組みを調べる事に明け暮れる事にしました。幸いにも私には時間が有り余っていたので私はドラゴンの生体についての本を片っ端から読みました。だけど時間は残酷であっという間に朝になってしまいました。
「おはよーお母さん。」
「あら、セルリア早いわね。お出かけ?」
「うん!患者さんが待ってるんだ!」
「あら?もう仕事決まってたの?」
「ううん。でも私の大切な患者さんなの!だからお弁当沢山作ってくれない?手伝うから!」
「はいはい!どうやら興味のある事を見つけたのね。精一杯励みなさい。」
「うん!」
私は朝ごはんを食べた後、直ぐに昨日の洞窟へ向かいました。セレナさんもお腹空かせているはずなのでたくさん持って行きます。固有結界の中でなら空腹は襲って来ませんが回復には食べる事、寝る事が大事なのです。
「おはようございます!セレナさん!」
『セルリアか……』
「はい!お待たせしました!まずはこれを食べて下さい!」
私は持って来た料理を広げてセレナさんの前に出した。
『なんだこれは?』
「ご飯です!お口に合うかは分かりませんが。心を込めて作りました!」
『我は腹が減ってるとは言っておらんが?』
「でも、食べないと治りが遅くなります。これまでは時間停止魔法で食べなくても良かったと思いますが、これからは栄養のある物を食べていただきます。」
『……医者がそう言うならするしかないな……』
セレナさんは起き上がって前足の爪でサンドイッチを2、3個刺して食べてくれました。
「お味はどう……ですか?」
『……上手い……』
「本当ですか!?良かったです!」
『セルリアは料理も作れるのだな。』
「いえ、それほどでも……一人暮らしの時は自炊もしていたので……」
『そうか……我はもう1つ夢が出来たぞ。』
「えっ!何ですか!?」
「セルリアの手料理を出来立てで食べる事だ。冷めてもここまで上手いのだ。冷めてもここまで上手いのだからな。早く治らなければな。」
セレナさんの目標に私は少し照れてしまいます。生きる糧を持つのは良いのですが……気恥ずかしいですね。
食べ終えた後は治療をしていくのですが……やはり回復魔法が効かないようでした。なので凄く燃えます!という事で問診です。
「セレナさんちょっといいですか?」
『なんだ?』
「セレナさんの背中には今8本の矢が刺さってますね。前はもっと刺さってたしたか?」
『そうだな……20本近い矢が刺さってたな……』
「その矢はご自身で?」
『あぁ、抜いたな。だがその8本だけは触れる事すら叶わんかったわ。』
「なるほど……」
つまり対ドラゴン用の魔術を練り込まれているという事なのでしょう。
「セレナさん。少し出かけて来ますので休んでて下さい!」
私はそう言い残してウエスティンの街にある図書館に駆け込みました。そこで対ドラゴン用魔道具の本を全て借りてセレナさんの待つ洞窟へ戻ります。
「申し訳無いのですが……私の勉強不足なところが多数あるのでしばらくは私の勉強になりますがよろしいですか?」
『構わんよ。知識がないという自覚があり、それと真摯に向き合うのであろう。ならばワシが口を出す事ではない。それにな、この中に入ってからはあまり痛みもないんだ。だからいくらでも時間を使うと良い。』
「ありがとうございます!」
とは言われてもセレナさんと私では生物としての寿命が違いすぎる為のんびりなんてしてられません。私は速読をしながら借りて来た本を読み進めていきます。そして重要だと思う物はメモに書き写していきます。
そうして3日目にしてようやく全ての本を読み終えました。ここまで4徹です。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
次回更新もお楽しみに!
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