第31話 距離
セレナさんが後ろから私を見ています。先程の事を怒っているのでしょうか?
……チラッ
「なんじゃ?」
「いえ、そこで見られていると落ち着かないと言いますか……」
先程の事があってかまともに顔が見れません。
「なんじゃ、さっきのこと怒っておるのか?」
「いえ……怒ってはいないのですが……その……恥ずかしくて……」
私は頬がまた赤くなるのが分かりました。それが分かったのかセレナさんが席を立ちました。
「邪魔したようだな。少し里を散歩してくる。」
「じゃ、邪魔じゃないです!」
私はセレナさんを止めてしまいました。
「ずっとは見ないで下さい……恥ずかしいので……でも近くには居てください……落ち着くので。」
「わがままな奴じゃのぅ。」
そう言うと私の近くに座り眠ってしまいました。心地良さそうな寝息を聞きながら私は作業を進めて行きます。
幾分かの時間が流れて気がつくと朝になっていました。
「おお、いかん寝過ぎたわ……む……?」
「……」
「セルリア……ずっと起きていたのか?」
「……」
「声すら届かんのか……すごい集中力じゃなぁ。どれ、朝食でも取ってきてやるかのぅ……」
「……」
私はただ夢中で本を読んでレポートを書いていきます。セレナさんから貰ったメモ用紙と照合し、辻褄を合わせては仮定を考えた。それの繰り返しをひたすら続けて行く。そして……
「ふぅー……」
私は一息吐くとようやく現状を理解した。
「誰もいない……」
隣で寝ていたはずのセレナさんまでいませんでした……私はどのくらい作業をしていたのでしょう……私は急に不安になって外へ出るとセレナさんが部屋の前にいました。
「な、なんじゃ……顔色悪いぞ?疲れたのなら休め。」
「セレナさん……」
私はその場に崩れ落ちる様に座り込みました。
「な、何をしておる。そんなに疲れておるのか?だから休み休みやれと……」
少しの文句を言われてしまいましたがそれ以上にセレナさんが居てくれたことにホッとしました。
「ほれ、野菜スープじゃ。我の手作りだからのぅ。感謝して飲むといい!」
「ありがとうございます。頂きます。」
一口スプーンで掬って食べます。
(辛い……!)
「……美味しいですけど……少し塩辛くないですか?」
「そうか?味見したがそこまで辛くないぞ?」
せっかく作ってもらって言うのは悪い気がしますが辛すぎるのでやんわり聞いてみます。しかし味見はしたと言うことなので私が少し過敏すぎたのでしょう。
「なるほど……セレナさんは塩辛い物が好きなのですね。でも美味しいですよ。ありがとうございます!」
「そうかそうか!たくさん食ってくれ!」
流石にこれをおかわりすれば塩分過多になってしまうので丁重にお断りしました。そこへカトレアさんがやってきました。
「セレナ!貴様塩使い過ぎじゃ!塩分過多になるわ!」
(あぁ……やっぱり辛かったんだ。)
「あぁん?そんなわけなかろう!セルリアは普通に食ってくれておるぞ!」
「セルリア無理するな、此奴は台所にある塩のほとんどをスープに入れたのだぞ!」
「えっー!」
「早く水を飲め!血中の塩分量が増えすぎて血管が切れるぞ!」
「そうします……」
「なんじゃ、あのくらい普通じゃろ?」
「普通じゃないわ!人間なら塩分過多で死ぬぞ!」
私は2人の言い争いを聞きながらお水を飲むのでした。
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