第2話 別れ
「今日までお世話になりました。」
「はぁ?何よいきなり?」
「私……ここをクビになりました。」
「……はぁ?何の冗談よ……笑えないわよ?」
私は真剣な顔で解雇通知の書簡をカスミ先輩へ渡しました。それを読んだカスミ先輩は顔を真っ赤にして怒り狂いました。
「何よこれ!ちょっと待ってなさい!私が院長に掛け合ってくるから!」
「いえ、良いんです……もう行きますね。もうここには居られないので他の先輩方にもお礼を伝えて貰えますか?」
「セルリア……」
私が部屋を出ようとするとカスミ先輩が私の手を握りました。
「カスミ先輩……?」
「いい、セルリア……死ぬんじゃないわよ。何とかして私たちが院長を説得するからそれまで耐えるのよ!」
「先輩……ありがとうございます!」
セルリアが荷物を整理している頃。院長室では副院長と院長が揉めていた。
「一体どういうことなのですか!?」
「何がだね?」
「セルリアの事です!あの子はこの国の逸材です!それを保身の為に切るなど正気とは思えない!」
「何を言う。アイツが撒いた種だ。責任を取らせるのも当然だろう。」
「違うでしょ!あれは貴方のご子息さまのミスのはず!カルテまで改ざんして一体何を考えておられるのですか!」
「……確か……君はこの前結婚したんだったな……」
「な、何を……」
「子供はいつ産まれるのかのぅ……」
「あ、あなたは……まさか……」
「健康に産まれてくれると良いな。」
「あ、あなたと言う人は人の命を一体なんだと!」
「金だよ。この世は金と名声さえあればなんでも手に入る。」
「あなた……」
「余計な事をすればどうなるか分かったな。これで貴様も一蓮托生だ。産まれてくる子供に苦しい暮らしさせたくなかろう。」
下卑た笑いをする院長を今すぐにでも殴りたい副院長。しかし家族を人質に取られた以上何も出来ない。自分の無力さと下卑た笑いをする人面獣心の人間を許せないのだった。
一方のセルリアは街を出る為の準備を進めていた。仮家にある家具は全て売り払う予定だ。それでも借金の返済にはまだ先が長い。という事で、一旦実家に帰省する事にした。
「さようなら……みんな……」
私は故郷のウエスティンへ向かうのだった。
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