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第19話 代役

 ようやくと言っていいでしょう。しかしその事実は事態が深刻な物だと教えています。


「急がないと……カスミ先輩が……」


 私が荷物をまとめているとセレナさんが帰って来ました。



「なんじゃどこかへ行くのか?」

「はい!月輪草を採取しに行きます。」


「なんじゃと⁉︎セルリアそれがどこにあるか知って言っておるのか?」

「はい……東の森エルフの里の近くにあると本に書いてました。覚悟は出来ています!」


 エルフと人間は今も昔も険悪です。理由は人間が勝手な開拓により森を壊しているからです。そのせいで今では商業取引すら無くなり下手をすると里に近づいただけで殺される可能性もあります。


「そこまで言うのであれば原因が分かったのだな?」

「はい。使われてたのは……自死の薬です。」


「な、なんじゃその薬は?」

「そうですね……まず、細胞を殺していきます。そして同時に自我をも壊します。」


「そんな極悪な薬があるのか?」

「負の遺産という物です。今は禁止薬ですが、昔は尋問や拷問に使われていた様です。解毒剤もあるんですが……カスミ先輩には使えないんです。」


「なんでじゃ?」

「これが問題なんです。」


 私はカスミ先輩の細胞を採取し、顕微鏡で拡大させた細胞に付けられた刻印を見せました。


「なんじゃこれは?」

「あ、ごめんなさい……焦ってしまいました。この刻印は回復阻害の物です。人間にも自然治癒力がありますがこの刻印が記された細胞はもう細胞を作る事が出来なくなってしまうんです。つまり細胞を壊されても回復が出来なくなります。今は時間停止空間へ隔離していますが、私のまだ万全の状態でない魔力では限りがありますのでいつまで持つか分かりません。」


「なるほどのぅ。じゃが何故こんな刻印が?」

「……本で読んだことがあるのですが、この刻印を対象者の背中に書く時にある手順を踏むと全細胞に移す事ができるという話を本で読んだ事があります。恐らくあの2人は病院内の禁書から知識を得たのでしょう。私が見た本にはこの刻印のボカシ絵と昔使われていた事しか載っていませんでした。」


「それで月輪草が必要なのだな?」

「はい、月の光を浴び魔力を宿した月輪草は呪解時の効力を上げて頂ける力があります。賭けにはなりますが、探し出して呪解するしかありません。」


「分かった……じゃがその間其奴はどうするのじゃ?」

「大丈夫です。私が今信頼できる人に任せます。」


「まさか我か?」

「いえ、セレナさんは私に付いて来てもらいます。信頼はしていますが医学の知識は皆無ですし、今は何故か一緒に居たいので……」


「ん?何か言ったか?」

「何でもありません!」


 最後の方は聞こえなかった様でした。


「まぁ良い、我もセルリアの側に居れるのは嬉しいからのぅ。だがその間は誰が見るのじゃ?」

「それに関してはもう当てを付けています。もうすぐ来ますよ。」


「セルリア!何で寝てないのよ!」

「この子です。」


「何じゃ、このちんちくりんは?」

「誰がちんちくりんよ!私はルミ・シーラよ!セルリアの看病してたのに来たら病室抜けだして何してるのよ!」


「なんじゃお主も医者か。見た目は子供なのにのぅ。」

「うるさいわね!私はまだ成長期なの!」


「と、言ってますが私と同期の同い年です。ルミさん私はもう良いのでカスミ先輩をお願いします。」

「良いわけないでしょ!まだ頭の傷も残ってるし、脳の検査も……」


「大丈夫です。セルフメンテナンスで損傷は見られませんでした。また帰ってきた時にゆっくりします。」


「何じゃそのセルフメンテナンスとは?」

「あっ、すいません。セレナさんは知りませんでしたね。セルフメンテナンスというのは体に魔力を流す事で怪我や病気の場所に痛みという形で教えてもらうという魔術です。医療魔術の基礎ですが、極めれば些細な怪我でも分かる様になります。」


「確かにセルリアのセルフメンテナンスは凄い精度だけど……やっぱり心配なのよ。」

「大丈夫です。それより、今はカスミ先輩です!時間もあまりありません。お願いします!ルミさん。カスミ先輩をお願いします!」


 私は深々と頭を下げます。


「はぁ……そこのあなた!」

「我か?」


「他に誰がいるっていうのよ!いい、セルリアになんか不調があったらすぐに連れ帰ってきてよね!セルリアがいないと張り合いがないの。分かった⁉︎」


(あー……これは完全にセレナさんを下に見てますね。)


 この子の悪い所は自分より立場が下と思ったら初対面でも不敬な態度をとってしまうんです。まぁセレナさんが許してくれるなら良いのですが……


「分かった……」


 かなり低い声……これは怒ってます。そう思った瞬間にはセレナさんはルミさんの首を脇に抱えて頭をグリグリしていました。


「じゃがまずは貴様のその不敬を詫びてからじゃ!我はお主の10倍は生きておるドラゴンじゃ!舐めた口聞いておると頭の1箇所の毛根を根絶やしてしまうぞ!」


「ぎゃーーー!ド、ドラゴン⁉︎し、失礼しました!」


 こうして紆余曲折はありましたが、私とセレナさんは月輪草を採取するために東の山、エルフの里に向かいます。

 ここまで読んで頂きありがとうございました!

次回更新もお楽しみに!


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