第18話 密会
私が回復したのは2日経った頃でした。その頃にはあの2人はもうドラゴンの里に連れて行かれた頃でしょう。ですが今の私には関係ありません。これから当面はカスミ先輩の治療です。
「セルリア、湯を持って来たぞ。」
「あ、ありがとうございますセレナさん。」
「先輩、体拭きますね。」
まだ予断を許せない状況。時間停止を駆使しつつ使われた薬を調べていました。先輩は今も目に光はありません。それどころか今は立つ事すらままなりません。
「何か分かったか?」
「まだわかっていませんが……諦めずに原因を探します!私をいつも心配してくれてた先輩で、今回も私の為に……」
「な、泣くでない。我も協力する。其奴がいたからセルリアは希望を持って我を助けてくれたのだからな!」
「ありがとう……セレナさん!」
私を抱きしめて慰めてくれるセレナさんには感謝しかありません。私が休んでいる間も飛びに飛んでもらって私の両親への報告に院長親子の身柄引き取りと各地を回って貰ったんですから。メソメソしていられません。
「私……頑張ります!セレナさんが一緒にいてくれて勇気をもらいました!」
「うむ、いつものセルリアじゃな。それでは我は少し王宮へ行ってくる。」
「王宮?何故ですか?」
「セルリアはまだ知らなくて良い事じゃ。」
少し目を伏せていたセレナさん。話したくないのでしたら無理に聞くわけにはいきません。私は引き続きカスミ先輩の治療を行なっていきまし
「すまんな、会議が長引いた。」
「いえいえ、お久しぶりです陛下。3年ぶりですかな?」
「下手な敬語はいらんぞ。楽にしてくれセレナ殿。」
我は王宮でこの国の王フェルマン・バッハと会っていた。
「そうか。ならば楽に行こう。まず例の犯罪者共は無事に捕えた事を昨日確認し、里へと連れて行った。今頃奴らはサンドバッグとなっておる。」
「そうか……里の中にはまだ人へ恨みを持つ者もおるのか?」
「いないと言えば嘘になるな。だが、関係改善をしていこうとはしている。」
「そうか……そもそもあの戦争も全ては不幸な偶然だったからな。」
「そうじゃな。お互いに被害者が出た事により発展してしまった。そしてそちらが新たな魔道具を作った事により戦況が変わった……」
「だが、こちらもあの魔道具を使いこなせる者がいなくなった……それゆえに戦争は終わらせたのだ……」
2人して昔話をしてしまう。しかし本題はここからだ。
「じゃが戦争終結後、我にあの魔道具を使って殺そうとした集団がいた。我はそれが知りたくて今回来たのじゃ。」
「なるほど、あなた様が何故2年近くも姿を現さなかったのか気になってはいたがそういう事だったのですね……ですが私にもその情報はありません。申し訳ない。」
「いや、良い。元よりダメ元で来たのじゃからな。時間旅行をするにも2年前だともう広範囲を探索する必要がある。そんな時間も労力もない。」
時間旅行の欠点は限られた範囲でしか使えぬ点、今回のセルリアの事件の様に決められた範囲内であれば何年遡っても良いが、場所もわからん、どこの集団がやってどこへ逃げたのかも分からんとなればその範囲は桁が変わってくる。そんなの我1人の魔力で見るのは不可能じゃった。
「軍の連中に探りを入れておこう。セレナ殿もこのままというのは納得いかんでしょうし。」
「無論じゃ。きっちり落とし前をつけさせてもらう。」
「流石……竜王の娘セレナ・ブルックだな。」
「我と父は関係ない……我は我じゃ……」
我は話し終えると王に一礼してセルリアの元へ戻る事にした。
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