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第17話 逆襲

「ド、ドラゴンだ!」

「に、逃げろ!」


 セレナさんを見た瞬間蜘蛛の子を散らしたかの様に民衆は逃げて行きました。


「な、何故ドラゴンがここに!?」

「今はそんな事は良い!さっさとあのドラゴンを撃て!」


 兵士さんたちは魔術で攻撃していました。しかしそんな攻撃がセレナさんに効くはずもありません。羽ばたく風圧だけで全て無力化してしまいました。


 そしてセレナさんは執行者さん達の前へ降りてきます。


「貴様ら……我が命の恩人セルリア・ハーネスに何をしておる。」

「こ、コイツは罪人だ!貴様の命を救ったなど知った事では……」


「ほぅ……それは医療ミスの事か?」

「何故それを?」


「セルリアに聞いておったからな。知っておる。だが我はどうも引っかかってな。此奴の治療法で医療ミスが起こるのかとな。」

「し、しかし最早証言もでている上、証拠の改ざんをした痕跡のあるカルテも出て来ている。その上での判決だ。」


「ならばそれをひっくり返す証拠が有ればいいのだな。」

「そんなものがあるはず……」


「あるぞ。我が魔術()()()()ならばな。」

「時間旅行……だと?」


「あぁ、この魔術は未来には行かれんが過去には行ける。一定空間の時間を遡り真実を知る為の魔術じゃ。」


「そんな魔術が……しかし私の一存で刑の執行を止める事は出来ん。少し待って貰えないだろうか?」

「良いだろう。国王に我が名セレナ・ブルックが来たと言えば伝わるだろう。今回は戦争をする為に来たわけではない。セルリアを助けに来た。それだけだ。」


 私はセレナさんが来た直後には意識がもう殆どありませんでした。しかしこれだけは覚えています。人の姿となったセレナさんが私の元へやって来ます。


「すまん……遅くなったな。助けに来たぞ。」

「……先輩も……お願い……します。」


「……全く、自分の心配も少しはせい。」


 そう言われて私はセレナさんの背中で完全に気を失いました。その横ではカスミ先輩も兵士さんに担がれていたそうです。





 私が目を覚ますと部屋の中でした。そしてその横ではセレナさんが座ったまま眠っていました。私は起きあがろうとすると全身に痛みが走りました。その痛みで声にならない叫びをあげてしまいます。


「おお!起きたか?」

「あっ……はい……おはようございます。」


「無理をするでない……肋骨が3本も折れており、額も割れておる。とりあえずお主達に石を投げて当てた奴らは後で全員締めあげる。」


「そんなことよりカスミ先輩を……あの人薬で心を壊されてます!早く治療しないと!」

「分かっておる。我では治せんが、今のお主ではお主の命も危ない。じゃから時間停止魔術であの娘の時間を止めておる。心配要らんから今はゆっくり休め。」


 私をもう一度ベッドに寝かせるとセレナさんは私が眠ってた間の出来事を話してくれました。


「まず、国王の銘によりお主達の再審が確定した。そしてお主らを嵌めた奴らは逃亡を図ったらしく現在捜索中じゃ。」


「そうですか。納得いきませんが……」


 あの人たちに苦しめられた方は恐らく私たちだけではありません。それなのに逃亡で帳消しなんて許せません。


「まぁ心配いらん。我の仲間達が探してる」

「えっ?」


「奴らは我の大事な親友を殺そうとした。その事は万死に値する。が、しかしだ、奴らは代々同じような汚職を繰り返していた。最早一度の処刑で許されるものではない。だから我らの里へ連れて行き裁く。」


「そんな事してもよろしいのですか?」

「国王には了承を得ておる。人が先に見つかるか、我らドラゴンが先に見つかるかだがな。」


「ですが、彼らをセレナさん達の里に連れて行った所で刑は1度しか行えませんよ?」

「心配要らん。奴らは捕まえたのち里のサンドバッグになってもらう。骨を砕き、内臓を破壊する。死ぬ間際に回復魔法をかけ再びサンドバッグ。例え死んだとしても蘇生魔術を使える者が里にはおる。一度だけだがな。奴らは代々同じような事をして人々を苦しめた。その報いを今奴らが精算するのじゃ。」


 少し可哀想に思えますが。彼らが撒いた種ですのでこれ以上の同情は不要でしょう。今は一刻も早く回復して私のために傷ついた先輩を助ける事です。




 その頃その2人はというと……



「急げ!この国で捕まれば処刑確実だぞ!」

「分かっています父上。だけどこんな山道歩いたこと……」


「泣き言を言ってられんぞ!最早国境は見張られてる。正規のルートでは他国に行かれんのだぞ!」


 彼らはセレナが現れたと同時に屋敷まで逃げていた。そして金目の物を纏めていたのだ。そこへ広場で見張りをさせていた者の話を聞き顔を青くした。そこからはそのまま馬車に乗り東の町イースタンに向かった。しかしその町に入る前に検問が敷かれてる事を知った為、街道から離れ山道を使っていたのだ。


「おのれセルリアめ!必ずや復讐してやる!」


 息をあげながらもセルリアへの恨み言を呟くハーマス。


(大丈夫だ。幸いにも資金はある。これを元手に新たな医院を立ち上げればなんとか……)


 しかしそんな上手く行くはずがない。何故なら罪を犯せば罰があるのは世の常だからだ。


バサっ!


 そんな2人の頭上から何かが落ちて来た。


「な、なんだ⁉︎」

「これは網か⁉︎誰がこんな物を!」


「捕まえたな。」

「あぁ、ここに逃げ込むとセレナ様が言っておった。ドンピシャだったな。」


「誰だ貴様らは⁉︎私を誰だと……」

「うるさいぞ人間!」


「ぐへ……」

 そう言うと女はハーマスの腹を蹴り上げた。


「貴様らは龍族に喧嘩を売ったと聞いた。なので捕縛し龍族へと引き渡す。」

「龍族だと……俺たちはドラゴン達になにもしてないぞ⁉︎」


 クローゼがそう答えたが、女は気にする素振りも見せず言い放った。


「聞く耳持たん!引き渡しの者が来るまで貴様らには牢獄に居てもらう。おい、連れて行くぞ!」


「はい!」


 こうしてなす術なく2人は捕まりこれから地獄以上の地獄を味わう事になる。だがこの時はまだそんな事知らない2人だった。

 ここまで読んで頂きありがとうございました!

次回更新もお楽しみに!


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