第16話 裏側
時を遡り判決が出たすぐ後の事だ。
「お父様、上手く行った様ですね。」
「あぁ、もとよりあの不正の山をどうするか考えていたのだがバカが家捜ししてくれたおかげで罪を被せる事が出来たな。」
家に帰っていたバーク親子はそんな話をしていた。
「だが、残りのネズミをまだ捕まえていないけどどうするのですか?」
「ふっ、その2人は泳がせておいて構わん。一匹は人質がおるし、もう一匹は1人では何も出来ん無能だ。院内で監視しておけば問題ない。今回は主犯のセルリア・ハーネスそして行動力のあるカスミ・ドレディア。この2人を消せば良いのだからな。さて、我らに逆らった愚か者の末路を見に行くとするか!」
「はい、父上。」
そうして彼らはセルリア達が処刑させるであろう場所に向かうのだった。
私は牢屋の中にいました。そして隣の牢屋にはカスミ先輩が……
「カスミ先輩大丈夫ですか?」
「……」
返事がない。私を無視するなんて絶対にないのです。牢屋の中は自由に歩けるので私はカスミ先輩を何とかしようと模索します。しかし、攻撃系の魔術が皆無な私は何もできないまま無情にも時間が過ぎて行きました。せめてカスミ先輩だけども助けないと私は死んでも死に切れません。
でも、世の中は無常です。神様は私の願いを聞き届けてはくれませんでした。兵士の方が私とカスミ先輩の牢屋を開けて処刑場へと連れて行きます。カスミ先輩の目には正気がありませんでした。やはり何者かによって精神を壊された様です。
日が沈む頃。私とカスミ先輩は磔にされました。民衆も集まってきていて私たちは見世物となっています。そして執行人が大声で叫びます。
「この者たちは人命を弄んだ外道である!この者たちに制裁を加える前にお前達にも裁く権利を与える。」
そう言うと兵士たちは集まった民衆に石を渡していきます。これを今から私たちにぶつけるのです。これの目的は民衆の鬱憤を罪人によって発散させる為です。しかし、すぐに投げる人は居ません。何故なら人に石を投げるというのは抵抗があるからです。しかし……
「おらぁ!」
「当たれ!」
誰かが投げ出すと罪悪感が薄まり出します。するとあの人が投げていたからと言い訳が出来てしまう為あっという間に投げ出してしまうのです。そして今回最初に投げたのは院長の親子でした。
「イタッ……カスミ先輩……大丈夫ですか?」
「……」
カスミ先輩は既に意識を失っており、頭から流血していたのです。その時私はずっと溜めていた言葉を叫びます!
「やめて下さい!私たちは何もしていません!無罪なんです!」
「ふざけんな!極悪人め!」
「反省もしてないとはただの外道だ!地獄に堕ちろ!」
みんな投石は一斉に私へと向きました。おかげでカスミ先輩には石が行きません。しかし、私は途切れ途切れの意識の中でも、無罪を主張しました。そして執行者が声を上げます。
「投石止め!」
その言葉で私たちへ飛んでくる石は止みました。その代わり私たちの足元に藁が敷き詰められていきました。
「これより火刑を行う!火を放て!」
その言葉で松明を持った兵士さんがやってきました。そして私たちの足元にあった藁へ火を放とうとします。その時私が思った事は……
(セレナさん……もう会えそうにありません……ごめんなさい……)
私自身も驚きました。まさか最期に考えたのはセレナさんだったからです。
ビュオオオー!
しかし突如突風が吹き荒れました。
「間に合ったか!」
そこには見慣れた。そして今思っていたドラゴンさんがいました。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
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