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第14話 完治

 エリカさんのお店を出て少し歩いているとセレナさんが話しかけてきました。


「本当にそれでよかったのか?」

「はい!お友達とお揃いの物なんて初めてなので!それに金額ではありません。気持ちです。私はセレナさんの気持ちだけで嬉しいですよ。」


「気持ちだけでは腹は膨れんぞ?」

「そうですね……ですが、最後は気持ちです。お金がない人も世の中には沢山います。そんな人を助けられるのは気持ちでの助け合いです。」


「うーむ……我にはまだ分からんな。」

「……そうですね。では、これは例え話です。」


「うむ。」

「セレナさんがお菓子を貰ったとします。そこで1人の人は何も言わずに高価なお菓子を渡して来ました。そしてもう1人はいつもありがとうって言葉をかけて安いお菓子を渡してきました。さて、どちらが嬉しいですか?」


「それはもちろん後者じゃな。」

「そうですね。私もそう思います。今のは極端例ですが、気持ちが籠ってる。それだけでお金には換えられない物があると私は思うのです。」


「なるほどのぅ。分かった気がする。」

「セレナさんは純粋ですね。私はセレナさんのそういうところ好きですよ。」


「……我はお主の揶揄う様な態度が偶に気に食わんのぅ……」

「あらあら嫌われてしまいましたか?」


「ニヤニヤしながら聞くでない!分かってある癖に!」


 私は再びセレナさんの腕へ腕を絡めて歩きました。あまり患者さんとこうして仲良くなり過ぎるのはよろしくありませんが。セレナさんのいろんな表情をもっと見たくていたずらをしたくなりました。




 それから少しお茶をして家に帰りつきます。隠匿魔術は終始切れる事はなく無事に終わりました。どうやらそろそろ旅立ちの時の様です。


 その夜私はセレナさんのカルテを書いていました。


・飛行訓練○

・自己回復○

・魔術回路の不具合なし

・言語能力○

・魔力量安定

・その他健康面問題なし


 私はセレナさんのカルテを見て、お別れの時だと確信しました。そしていつもの様に後ろで見ていたセレナさんへ振り返ります。


「セレナさん……もう大丈夫です。私が治療すべき事は全て無くなりました!退院です!」

「ん?つまり……どういう事じゃ?」


「つまり、もう1人で何処へ行っても大丈夫です。里へ帰るのも良いですし、お好きな所へ。」

「そうか……もう我は患者ではないのだな……」


「はい。私としても初めてこんなに患者さんと親身に向き合えました。ありがとうございます。」


 寂しくないと言えば嘘になります。しかし治ったのならここに留めておく必要はありません。


「そうか……では、セルリアの側におろうかの……」

「えっ?」


「我がいたい場所はセルリアの側じゃ。」

「えっ……そう言って貰えるのは嬉しいのですが……ここにいても何もありませんよ?」


「あるぞ?」

「えっ?」


「セルリアがおる。それだけで充分じゃ。」


 そんな……笑顔で言われては何も言い返せません。


「まぁ。それでも1度は里に顔を出さねばなるまい。」

「そ、そうですよね。里の皆さんも心配しているでしょうし。いつ帰るのですか?」


「今からじゃ!」

「えっ?」


「我は元々夜も飛べるからのぅ。今から出れば明日の朝には里には着く。そして明日の夜には帰ってくる。」

「まだ病み上がりなんですし。そんなに急がなくても。」


「なんじゃ?寂しいのか?」

「そ、そんなんじゃなくてですね!」


 私が言い返そうとすると、ポンポンとセレナさんは私の頭を叩きました。


「案ずるな。すぐに帰ってくるから待っておれ。」

「は、はい……」


 私はつい照れてしまいそのままセレナさんを行かせてしまいました。

 ここまで読んで頂きありがとうございました!

次回更新もお楽しみに!


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