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第13話 お出かけ

「セルリア、お主は買い物などは行かぬのか?」


 セレナさんが家にやって来て1週間。私が櫛で髪を解いていると急にそんなことを言われました。


「たまには行きますよ。調剤用のお薬や紙や本を買う為に。」

「そうではない!お主はそう言う仕事な物は買うが服やアクセサリーは買わんじゃろぅ?女子ならもう少しオシャレというものをな。」


「私はあまり服にこだわりはないですよ。なので今ある服に合わせられる服しか買いません。」

「ぬあー!もう良い!ワシと明日は街に出るぞ!」


「お出かけですか?良いですね。そろそろ隠蔽魔術のリハビリもしようかと……」

「ちがーう!お主と我とで遊びに行くという事じゃ!我に恥をかかせぬ格好をするのじゃぞ!」


 何を怒っているのか分かりませんが、私は頷くことにしました。ですが、ドラゴンが街中に居ては人々がパニックになります。


「分かりました。では、せめてツノは隠して下さい。街の人々がパニックになってしまいますから。」


「分かった。それは協力しよう。」


 これで陰ながら隠匿魔術の検査も出来ます。ですが何故でしょう。2人で遊びに行くと考えてしまうと何故か楽しくなって来てしまいます。





 ウエスティンの街は大きな街ではありません。ですが地方の街という事で新鮮な食材や文化的な衣類も沢山あります。特にここでしか買えない食材を求めてわざわざ王都から来るお客さんもいるくらいです。



「なんじゃ意外と人は少ないのだな。」

「ここは地方都市です。人口はそこまで多くないです。4大地方都市の中でもここは少ない方ですが……」


「じゃが、人混みに流される心配もないというのはありがたいものだな。」

「そうですね。ですからこうして……」


「な、なんじゃ⁉︎」


 私はセレナさんの腕に腕を絡めてくっつきました。


「な、何をしとるのじゃ⁉︎お主は!」

(ふむふむ……動揺による魔術の綻びはなしっと……)


「いえ、今まで恋人なんていなかったので、セレナさんで少し試してみたかっただけです。」


 私は本当の事を言いながら本心は隠しました。あくまでも2人でのお出かけを楽しむのが今日の2人の目的ですから。


「まぁ……そういう事なら仕方ないな。それより何か店を見て周らぬか?」

「いいですよ。セレナさんは何か見たい物がありますか?」


「そうじゃな、アクセサリーを見てみたいのぅ。」

「でしたらこの先に私の知り合いが営んでいる雑貨屋さんがあります。」


 私はセレナさんの腕を引っ張って街道を歩いて行きます。私が知ってるのだから私が先を歩く形となります。


「こんにちは!エリカさんいますか?」

「ん?あっセルリアじゃん?何休暇?」


 店の奥からは1人の女性が現れます。彼女はエリカ・スクエア。この店の店長で私の地元の友人です。


「いえ、色々ありまして……それより友人がアクセサリーが見たいという事なので連れてきました。」


「おおー、お客さん連れて来てくれるとはいい友達を持ったよ。私は!」

「そんな涙目で言わないで下さいよ。そんなに景気が悪いの?」


 私の問いにエリカさんは深いため息を吐きます。


「本当に何も知らないわね。セルリアは……また戦争が起こりそうなのよ。今度は南だって。要らない鉄や金属は没収されて行ってるわ。この店も同様に嗜好品の金属はタダ同然で軍に取られたわ。そのせいで私の店もここまでかもね。」


 言ってる言葉とは裏腹に目はまだ死んでいませんでした。負けず嫌いな子なのでこの状況で燃えてるのでしょう。


「いい面構えじゃのぅ。ならば我とセルリアで少し援助しようではないか。」

「つまり何か買うんですね。」


「そういう事じゃ。ほれ、このピアスはお主に似合いそうじゃぞ?」


 渡されたのは白いパールの付いたピアス。どう考えても高いです……


「あの……そんな高価な物を買うお金はないのですが……」

「何を言うておる。我が払うんじゃ、お主が気にいる物を選べ。」


「えっ……いいんですか?」

「良いに決まっておる。命の恩人に何も返さんのは不義理にも程がある。」


「そんな……いいですよ。まだ完璧に治ったわけではないんですから。」


 そうやって押し問答しているとエリカさんが間に入ってきました。


「お2人さん……いちゃつくのは勝手だけど……」

「い、いちゃついてなんて!」


「値段見て決めてね。」


 私が言い返そうとしましたがその前に言われた言葉を聞いて値札を見てみます。


「金貨30枚……」

「買えるの?」


 金貨30枚有れば3ヶ月は働かずに済むくらいの金額。そんなお金を持ってる筈もなく。私は真珠のピアスを元の場所へ黙って置きました。


「なんじゃ、気に入らんのか?」

「気にいる気に入らないの問題ではありません……買えません。金貨30枚って価値をセレナさんは知らないと思いますが私たち家族が3ヶ月は暮らせる金額なんです。そんな物買えるわけありません。」


「なんじゃそんな事か。人の金貨価値くらい我も知っておる。だから案ずるな。その気になればこの店一件買う事もできるぞ?」


「えっ?冗談よね?」


 話を聞いてたエリカさんも苦笑いで聞き返します。


「冗談ではないぞ。その証拠に……」


 セレナさんは収納魔術を使い別の空間に保管していた財布を取り出しました。そして財布から出した硬貨は……


「「オリハルコン!」」


 オリハルコン……この硬貨1枚で家が一軒買える代物……初めて見ました。


「お、お好きな物を、お好きなだけご覧下さい!」


 エリカさんも何故か敬語になるレベル……その後私たちはお揃いのペンダントを買いました。

 ここまで読んで頂きありがとうございました!

次回もお楽しみに!


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