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第12話 飛行

 朝起きると私は身体を縛られていました。


「あれ?なんで?」

「起きたわね……」


 そして隣には何故かボロボロのセレナさんがいました。


「ど、どうしたんですか⁉︎誰にやられたのですか?」

「……たよ!」


「えっ?」

「あんたよ!セルリア!寝相悪いにも程があるわ!」


「ええー!私ですか⁉︎」


 セレナさんの答えに本当に驚いてしまった。


「セルリア、あなた夢遊病じゃないの?それとも寝てる間だけ戦闘能力が開眼してるの?正直セルリアを止めるのに魔縄(まじょう)を使うとは思わなかったわ。」


 そうしてセレナさんは私の縄を解いてくれました。


「とにかく今日から寝る前はセルリアを縛る。そうしないと我の安眠が約束されんのだ。」


 とんでもない宣言をされてしまいましたが、仕方ありません。何故ならセレナさんはかなりボロボロだったのですから。





「あら、お二人ともおはよう。昨日は激しかったわね。」

「ええ、セルリアが激しくって……」


「ちょっ!セレナさん⁉︎」

「まぁまぁそれは……家が壊れなければ良いのだけど……」


「セルリア次第ですね。」


 すっごく卑猥に聞こえてしまいますが……ただ私が寝相悪かっただけですよね?私寝ている間に何もしてませんよね?


「セレナさん遊んでるんですよね?」

「何の話じゃ?事実を話とるだけじゃないか?」


 余計に(こじ)れそうなので話題を変えます。



「朝ご飯は出来てますか?」

「ええ、今日は何をするの?」


「今日は飛行のリハビリをする予定です。」

「えっ?もう飛べるの?」


 お母さんは驚いていますが恐らく魔力は充分なのでリハビリ程度だったら飛べるはずです。


「我の飛行リハビリか……いいのぅー久しぶりに飛べるぞー!」



 という事で、私たちは朝食を食べ終えた後、少し家から離れた場所でセレナさんはドラゴンになりました。そして大きな翼を広げてました。


「翼に特に怪我は無いですね。力は入りますか?」

「問題ない。しっかり力は入る。」


「では、飛んでみて貰えますか?」

「あぁ、セルリア、少し下がれ風圧で飛ばされるぞ。」


 セレナさんの忠告を受けて私は少し離れます。離れたのを確認するとセレナさんは大きな翼を羽ばたかせて少しずつ空へ昇っていきます。


「大丈夫……みたいですね。」


 そうして一飛びして来たセレナさんは私の元へ戻ってきました。


「久しぶりの空はやはりいいのぅ!セルリア、我の背中に乗れ!」


「えっ?」

「空を飛んで見んか?我と同じ景色を見に行こう。」


 正直迷いました。私は高い所が苦手なのです。でも何となくセレナさんなら大丈夫だと思いました。


「分かりました。安全にお願いしますね。」

「任せよ。人を乗せるのは初めてじゃがな。」


 私はまたも躊躇いましたが、一度乗ると言ったのです。後には引けません。


「本当に大丈夫なんですか?」

「何故確認する。案ずるな。」


 ここまで言うのなら信じるしかありません。私はセレナさんの背中に乗りました。


「じゃあ行くぞ!」


 そうして再び翼を広げて羽ばたきました。私は空に飛んだ瞬間目を瞑りました。そして安定し出した時私はゆっくりと目を開けました。するとそこには……


「すごい……」


 そこには広大な大地が広がっていました。


「これがセレナさんが見てる世界……」

「どうじゃ、初めての空は?」


「すごいです……世界とはこんなに広いのですね!」

「そうじゃな、この世界からすれば我もちっぽけな存在じゃ。」


 そうです。私はまだまだ人生始まったばかり……何だか元気を貰えました。


「患者様に元気を貰う様ではまだまだですね。」

「まだまだなのは我もじゃ。これから成長して行くぞ。」


 セレナさんも何か目指す物がある様です。私はそれを後押しする事が仕事。


「セレナさん。もう少しで完治です。もうひと頑張りお願いしますね!」

「あぁ、この命、お主に預けたぞ。セルリア!」


 そうして少し飛んでた後、私たちは地上へ帰って来ました。

 ここまで読んで頂きありがとうございました!

次回更新もお楽しみに!


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