第1話 クビになりました……
これは昔のお話です。とある村の少女は崖から落ちそうな所を通りがかったドラゴンに助けて貰いました。でも、少女には恩返しする物がありませんでした。そこでドラゴンはこんな提案をしました。
『ならばおまえが大きくなった時……ワシらの邪魔をしないで欲しい。』
「邪魔ですか?」
『そうだ。これから我々は人々と戦争をする。その時おまえだけは戦いに入ってはならん。』
「分かりました。このご恩は一生忘れません。」
『ふんっ……ではさらばだ小さき人間よ。』
(か……かっこいいー!)
それが初めてのドラゴンとの出会いだった。それから数年が経ち戦争はドラゴン達が負けました。人間の作り出した1つの魔道具によって……そして少女も成長し。回復魔術師となっていたのです。しかし、ただの回復魔術師ではなく……
「……で、その助けられた少女がアンタ何でしょ?天才回復魔術師のセルリア。」
「はい!だから私は軍隊には入らなかったんです!」
そう、私は今この国で史上最年少での天才回復魔術師の称号ヒーリングマスターと医師免許を取得していました。そして今話しているのは先輩のカスミ・ドレディアさん。私の教育係兼数少ない友達だ。
「まぁ、後輩がセルリアで良かったわ。」
「何でですか?」
「だって私より知識も技術もあるから最早追い抜かれるなんて心配も要らないもの。とっくに追い越されてるし……」
「そ、そんな……技術面はそうかもですが先輩から習う事は沢山あります!だからこれからもご指導よろしくお願いします!」
「……そうね……」
「はい!」
「まずはその素直な心は時に人を傷つけるという事を教えないとね!」
「ふぎゃゃゃ!」
私の頭をグリグリする先輩。口より手が早いけど良い先輩です。
「それで往診はあと何件?」
「今日はもうお終いですよ。午後からの診療も精一杯やります!」
今はお昼の休憩時間ですが、街には病院まで来れない方もいます。なのでそんな方々にも医療を受けられる様にしたいと思って入って3ヶ月目に病院の院長に直談判したところ休みの時間になら良いと言われて私は単独で街の方々に訪問診療しています。
「セルリア……医者の不養生って知ってる?あんまり無理してると自分が病気に……」
「先輩静かに!」
私は先輩との会話をいきなり切って神経を集中させる。他の先輩にやったら絶対叱られるけどカスミ先輩は私が何をしてるのか分かっているから話を切ってくれる。
「うぅ……誰か……」
「こっち!」
私は人混みをかき分け声のする方へと向かうとそこは人気のない路地裏でした。そして傷だらけの男性が壁に寄りかかって座っていました。
「大丈夫ですか!?」
私と先輩は急いで男性の元に駆けつけた。
「あぁ、良かった……最後を看取ってくれる人がいて……」
「何言ってるんですか!?あなたは死にませんし、死なせません!」
「あはは……ありがとうな、お嬢さん……でもね。もうお金もないしこの怪我じゃあもう……助からない……だから……僕の無念を……」
そうこの男性は見るも無惨にお腹を裂かれていたのだ。恐らく内臓まで行っている。おまけに手足も切り刻まれていてもう助からないのは素人目にも分かるレベルだった。
「大丈夫です!私なら治せます!」
「えっ……」
「緑の精霊より癒しを、青の精霊より安らぎを、赤の精霊より生命の炎を……メガヒール!」
メガヒール……それは回復魔術の上位クラスの者だけが扱える魔法の1つ。大体の外傷ならばこの魔法で治せるのです。
「えっ……か、身体が動く……!」
「ふぅー良かったですね。まだ生きられますよ!」
「そ、そんな……ありがとう!ありがとう!」
私は男性から泣きながらお礼を言われました。だけど魔術も万能ではない為流血した血液までは回復は出来ていません。なので1度病院へ連れて行き輸血や、他に怪我がないかを調べます。
「あなた追い剥ぎにでもあったのですか?」
病院へ戻る道すがらカスミ先輩が男性にこんな問いを投げかけた。
「分かりません……いきなり背後から刺された後そのまま全身を切り裂かれました。相手はフードを被って見えませんでしたし……最後は私の財布を取って逃げて行きました。」
「それでは後で騎士団に連絡しておきますので事情聴取などご協力下さい。そうすれば医療費が免除になる可能性もあります。」
「申し訳ありません。ご迷惑をおかけして……」
「いえいえ、これが私たちの仕事ですから!」
私が分からない事は先輩がサポートしてくれるので先輩には感謝しかありません。私も覚えないといけない事はまだまだ沢山あります。
「セルリア、院長が呼んでいたわよ。院長室に来なさいってさ。」
「分かりました!」
私はすれ違った他部所の先輩に言われて私は医療用ポーションを直して院長室に向かいます。そして私はそこで信じられない事を言われました。
「セルリア、お前はクビだ。」
「……えっ?……」
私は素っ頓狂な声を出してしまいます。そのくらい面を食らう言葉だったのです。
「あの……私何かしましたか?」
「身に覚えがないと?」
そう問われても全く身に覚えがない為、私は「はい」とだけ返事をします。しかし、その返事に院長は声を荒げます。
「お前は重大事故を起こしておいてよくそんな事言えたな!」
「えっ……あの……本当に分からないのですが……」
すると院長が使えにカルテと1つの血まみれのメスを置きました。
「このメスが患者の体の中にあったんだ。そしてその執刀医が君だ!」
「ええー!そんなはずありません!私の医療メスは全て自分の物です!そして毎日手入れをしています。」
「だが、実際執刀医はお前になっている。大方近くにあったメスを取ったのがたまたま忘れたのだろう?」
「そんなはずありません!私は手が小さいので自前のじゃないと力が入らず上手く使えません。なので院内のメスを使うなんてあり得ないんです。」
「ええい!もういいわ!とにかくその弁償でこの病院は借金をしたのだ!その責任を取ってクビになってもらう!そしてその借金も肩代わりしてるだけだ。しっかり返済しろ!分かったな!」
あとは有無を言わさず私は巻くし立てられ部屋から摘み出されました。
新作の百合小説!今日から投稿開始!本日は3話目まで投稿予定!
続きが気になるー!という方はブックマークを!
面白いと思ってくれた方は下の星マークをタップして頂けると励みになります!
これからよろしくお願いします!