Emergency
「…寄りにもよって、こんなときにぃ…」
部屋が警戒ランプで赤く染まる。
彼女は目醒めない。
船内の倉庫には爆発すると洒落にならないものを詰め込んだばかりである。
衝撃が宇宙船に直に当たれば、辺り一帯は吹き飛ぶだろう。
あの人を流石に危険に晒すわけにはいかない──
「……。」
宇宙船の外に向けているモニターを確認をする──が、見た限り地平線までいい加減見飽きた氷沙漠しか見えない。
危険とは何だろう…?とティアラは思う。
モニターの死角にでも何かがあるのだろうか…?
幾つかのモニター画面を切り替えて確認をしても【何か】を発見できない以上、外に出て確認する他にはなさそうだった。
外は相変わらず荒涼とし、陽が地平ギリギリを滑る。
数日前に辺り周辺に転がっていた巨大な氷の塊は片付けたのに、もう人の頭位の大きさの氷があちこちに散らばっている。
冷風はゆるり、とティアラの髪を梳く。
ティアラにとっては心地よい冷たさである──が、200K前後の温度なので人間にとっては言うまでもないが。
ボディに内蔵されているセンサーの感度を上げて、辺りを見回す。
特に異常を見つけられないが──背中に冷たいものが流れていく感じがする。
『ものすごく…嫌な感じが、します……』
心臓が締め上げられるような──強いプレッシャー。
ボディが人間で言う恐怖感と絶望感で悲鳴を上げる。
視えないけれど、何かがいる。
センサーだけが、その感覚を感じ取っている。
──ゾクリッ……
更に強い何かを感じて振り返る──
何かが陽を背にゆっくりとこちらに向かって近付いて来ている。
『…何処から……?』
背の高い人型のものが長い影を揺らしながら近付いて来る。
ゆっくりと歩いてくるそれは、ティアラから少しだけ離れた所でその歩みを止めた。
逆光だが辛うじて顔が判別出来る距離だ。
その顔を認識をし、ティアラは息を飲んだ。
──!
『…冗談、ですよね……』
-73.15℃(200K)のを心地よいと言うティアラ(*´・ω・)
もちろん、コートとか着てません。
バナナで釘が打てる世界!




