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時間と精霊の狭間に沈む月  作者: 風見渉
第一章
2/48

Prologue

 時間の流れが急速にも、緩慢にも思える空間。

 どれ程の時間が経ったのかすら感覚がつかめない。





 気がついたときには世界()の前には、大きなモニターが一つ。

 世界は明るく(白く)もあり、昏く(黒く)もあった。

 他には何もなかった。

 私は一体何なのか──自問自答する必要はなかった。

 私は、答えを()()()()()

 私は記憶。()()の記憶。



「…彼女は今、何処にいるのかしら?」

 私はそれを知らない。

 私に自我があるということは、少なくとも()()は動ける状態ではないと言うことだけは解る。

 (記憶)は幾つにも分けられた()()の一つなのだから。





 ぼんやり過ごす時間が多かった。

 光源は無いのに世界が明るい。いや地面(グリッド)が発光をしている。

 ──はた、と思う。

 私が気がついてからそれなりに時間は経過をしている──のに喉の乾きを覚えることも、空腹を感じることもない。

 ふと、自分の手を眺めてみる。

 やはり、生身の身体である感じはしなかった。

 精巧に造られた()()の様に感じる。


「記憶の自我とか普通に意味が解んないわよねぇ…」

 ()()の記憶はある。完全とは言い難いけれど。

 ただそれが自分の記憶かと言われるとそうではない。

 記憶媒体のように存在している。というのが正しいかもしれない。


「…はぁ……」

 溜め息をついた。

 考えても仕方ない事だと思った。

 ──要は、することがなく暇なのだ。




 その静寂がけたたましく破られるのは、もう間もなくの事。

 モニターの向こうから甲高い声が──


「あっ!起きてるー!」

 世界に降り注いだ第一声がそれだった。


「おっはよーございまーす!マスター!」


最後の声は、某天の声の様なテンションです。

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