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はじめてのゴブリン討伐

 フェアリーに案内されながら、俺たちは目的のゴブリンの巣穴前まで来た。

 見張りゴブリンはやる気がないのか、槍を抱きかかえたまま船を漕いでいる。

――ここです

「わかった」


 俺は仲間たちを見た。

 イルースィヴ……は主君なので戦力からは除外して考える。

 天使マミエル、狼戦士レクシー、狼11頭……今、俺の後ろにいるのはこれだけだが、これが全ての戦力とは限らない。

 俺はフロアマスター帳を開くと、傭兵というページを出した。


――召喚、ホブゴブリン1、ゴブリン20!


 謝礼は、1か月辺り100マナポイント。

 傭兵であるゴブリンたちは現れると俺から距離を取って、イルースィヴの前でお辞儀をした。

「お主らの雇い主は隣じゃぞ」

 俺が男たちに避けられているのはやはり名前が原因か? いや、ホモサピエンスの意味くらい、分かる奴だっているだろう。

 うーん……納得いかんが、まあそんなことを考えている場合ではないか。


 表情を戻すと、現れたホブゴブリンに命じた。

「あの巣穴を攻略しろ」

 ホブゴブリンは頷くと、金棒を振りかざしながら藪から飛び出した。すると、子分のゴブリンたちも次々と武器を構えて突っ込んでいく。


 イルースィヴも、その光景を見て苦笑した。

「毒を以て毒を制すか……考えたの」

「しかもどんな戦況かは、コイツに乗ってる傭兵生存数という数字を見ればわかるしな」


 俺はレクシーを見た。

「俺が合図するまで、お前らは待機な」

 レクシーは頷いた。


 フロアマスター帳に乗っている傭兵生存数は、最初のうちこそほとんど減らなかったが、1分もすると5秒ごとに1や2ずつ減り始めた。どうやら、巣穴に籠っているゴブリンたちも対処し始めているようだ。

 そして、傭兵生存数が残り7になったとき、リーダーであったホブゴブリンも倒れたようだ。

「……」

「……」

 傭兵生存数は更に減り、5、4、3にまで減ると、俺はゆっくりとレクシーを見た。

「オオカミと共に突入!」

「ははっ!」


 一番強いボス狼を先頭に11頭とレクシーが巣穴へと駆け込んだ。

 すると20秒ほどでゴブリンが這い出てきたので、俺は迷わず矢で射抜いた。

「マミエル、手伝え」

「はい!」


 タイミングよく傭兵生存数が減ったので、もしかしたら味方を撃ち抜いたのかもしれないが、敵前逃亡は立派な契約違反だ。容赦せずに這い出てきたゴブリンを射抜いていく。

 すると、洞窟の中から白い布が放り出された。

「制圧完了か。だけど油断するなよ」


 ゴブリンの洞窟からは、相変わらずゴブリンの悲鳴やオオカミやレクシーの唸り声が響いた。

 フロアマスター帳に乗っている傭兵生存数は0になったが、もう俺たちの優位は揺るがないようだ。レクシーは次々と岩の隙間から白い布を投げ、制圧完了を報告した。


 そして、ボスゴブリンのものと思しき断末魔が響いた。

「一応、安全確認をしてくる」

「気を付けるのじゃぞ」


 ゴブリンの洞窟の中を見ると、ものの見事に敵味方のゴブリンが入り乱れるように倒れていた。

 これ、レクシー隊やゴーレム隊だけで踏み込んでも返り討ちだっただろうな。


「バダルラインきょー!」

 レクシーは横たわるゴブリンたちを飛び越えながら俺の前で跪いた。

「おいおい、敬礼はやめろ。俺が偉いって生き残りのゴブリンがいたら知らせるようなもんだぞ」

「ご、ごめん、なさい」


 レクシーは立ち上がると言った。

「洞窟の中、ゴブリンじゃない、もの、いる」

「ゴブリンじゃない?」

 案内してもらった先は牢獄で、捕まっていた村娘たちに混じって、冒険者友達がいた。

「お前はジェイダン!」

「シュジン! 恥ずかしい所を見られちまったな」

「何言ってるんだ……ゴブリンどもにバラされなくて本当に良かった!」

 俺は本心からそう思っていた。

 ゴブリンの恐ろしい所は交渉が一切通じないことだ。こいつらに捕まればほぼ確実に肉として加工されてしまう。


「お友達?」

 レクシーが不思議そうに尋ねたので俺は頷いた。

「ああ、飲み友達さ」

「お前がお尋ね者になっていたから驚いたぞ」

「詳しい話は後さ。まずは生き残りがいないか調べたい。手伝ってくれ」

「おう!」

【その頃のモンスターハウス】


「おい、ホブゴブリンEがやられたらしいぜ」

「さっき傭兵で雇われてたヤツか」

「ふっ、ヤツは我らホブゴブリンズで一番の小者」

「全く、情けない奴よ」

「ところでよ、どこでやられたんだ?」


「バダルライン川の近くにある洞窟みたいだな。依頼主の命令で同族とやりあったらしい」

「ほほう……それなら名誉の戦死だな」

「確かあそこって、ゴブリンナイトFが支配してるところだよな」

「確かそうだ」

「その依頼主とやら……報復されるな」

「何て名前の依頼主だったんだ?」

「主君、イルースィヴ・ホワイト・ディアー・聖樹守護・アサルト」

「言いにくい名前だな」

「採用担当者、シュジン・ホモ・サピエンス・ジャパン3世・バダルラインの守、コーダ」


「……」

「……」

「……シュジン・ホモ」

「それ、絶対に主君か採用担当者のどちらかがヤベー奴じゃん!」

「傭兵依頼でも……遠慮したいよな」

「いやでも、俺たちを雇ってくれる奴なんてなかなかいねーし……」

「出禁にはできんな……」

「つまんねーよ!」


「あ、そうだ。【ブックマーク】の登録と、広告バーナー下にある☆☆☆☆☆を★★★★★にして欲しい」

「以後も、よろしくお願いします」

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