表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/54

内政、内政! そして軍事

 俺のフロアマスター帳には、7月分のポイントが入っていた。

 前月繰越100ポイント。俺自身の霊力で1000ポイント。それに加え妖精たちから440ポイントが送られている。

 ここからマミエルへの給金400とレクシーへの給金200を払い……


「残りは840ポイントか」

「収入が増えたの」

 さて何に使おうかと思ったら、フェアリーたちが飛んできた。

――あの、バダルライン卿

「どうした?」

――実は、ミツバチを飼いたいと思いまして……その


 ミツバチは確か、様々な植物が実を付けることを助けるという話を聞いたことがある。

「なるほど。調べてみよう」


 調べてみると、巣箱付きでミツバチの巣が売られていた。

 小さな巣箱は100ポイントだが、大きな巣箱は250ポイントと割高だ。

「確か、ミツバチって大きい群れの方が、クマなんかに襲われたときに助かりやすいんだよな」

「うむ。ここは奮発して大きな方を買ってみるか?」

「でも、世話は大丈夫か?」

 フェアリーたちに聞くと、すぐに頷いた。


――そこはお任せください。責任をもってお世話させていただきます

 なるほど。真剣に言っているようだし250ポイントくらい投資するのもいいだろう。

「じゃあ、買うぞ!」

 購入すると、妖精たちはミツバチの入った巣箱を持ち上げて森へと帰っていった。今月のお願いはミツバチだけだったようだ。


「残り590ポイントか……何に使おうかな?」

「そうじゃのう……ん? あれは……マミエルではないか」

 マミエルはハトと共に降り立つと、跪いた。

「あるじ様。冒険者街と周辺地域で事件が起こりました」

「事件じゃと!?」

「はい。ブロンズ階級とアイアン階級の者たちが一斉蜂起し、王国軍と激しく争っている模様」

 思わずイルースィヴと目が合った。


「以前からきな臭い動きはあったが……」

 俺はマミエルを見た。

「どれくらいの規模の反乱だ?」

「詳しい数は不明ですが、冒険者街の中心街と南側の被害が深刻です。場所によって略奪も起こっている模様」

「反乱の直接の原因は?」

「寒村で大事にされていた喋るシカを、ゴールド階級の者が殺めたことが原因という話です」

「ふむ……それはもしかしたら、余の異母兄弟かもしれんな」


 イルースィヴは、少し思案するように沈黙すると、やがて言った。

「すぐにここが巻き込まれることはないと思うが、戦力の増強も必要そうじゃの」

「誰を雇うべきか……」

「そうじゃのう。あまりランニングコストを上げたくはないのう」

「ここは無難に植物系モンスターか?」


 フロアマスター帳を捲っていると、スライムというモンスターに目が留まった。

「このスライムっていうモンスター……肉弾攻撃がほとんど効かなかったな」

「うむ。敵に魔導士がいなければ、ほぼ負けることはないモンスターじゃのう」

「1匹100ポイントだから高いけど……買ってみるかな?」

「もしや、入り口付近に置くつもりか? やめておけ……こ奴はゴーレムではないから、奥深くに置かないと出奔してしまうぞ」

 いいアイディアだと思ったが、入り口付近は入り組んでいるから、スライムが反乱でも起こしたら退治にとても手間がかかる。

「じゃあこっちの……」


 そんな話し合いを続けていたら、フェアリーが飛んできた。

 この辺にいるフェアリーとは色が違うな。

――聖樹公イルースィヴさま

「ん? 見ない顔じゃな」

――バダルライン川の南部に住むフェアリーです。実は……お願いがあってまいりました

「ほう。して、要件はなんじゃ?」


――ゴブリンが洞穴を根城にして暴れまわっています、退治して頂けませんか?

「ゴブリンか……問題は規模じゃな。ゴブリンロードやゴブリンナイトがいるかどうかだけでもいい。わからぬか?」

 フェアリーは少し考えると答えた。


――現場を指揮していたのはホブゴブリンでした。規模も……そうですね。30頭弱……といったところかと


 イルースィヴは俺を見た。

「どうする。それなりに手強い連中じゃが……」

「……ええと、確か」

 俺はフロアマスター帳を捲ると、思い通りの項目があった。

「いい方法がある。この件は任せてくれ!」


 イルースィヴは頷いた。

「考えがありそうじゃな。わかった。今回の指揮は主に任せよう」

【コラム:ツーノッパ世界でのゴブリンの進化】


ランク1.幼体ゴブリン

ランク2.ホブゴブリン

ランク3.ゴブリンナイト

ランク4.ゴブリンパラディン

ランク5.ゴブリンエンペラー


 という具合に、数字が上がることに強い力を持つゴブリンになります。

 一般のゴブリンが努力でなれるのは、レベル3のゴブリンナイトで、この域に到達できるのは400匹に1匹くらい(ゴブリンからホブゴブリンになれるのは20匹に1匹くらい)


 4のゴブリンパラディンになるには3つの条件を満たすことが条件です。

 一族の中にゴブリンパラディン以上の血を引いた者がいることor神か魔王から推薦を受けること

 自分自身がゴブリンナイトであること

 ゴブリンナイトを複数人従えていること


 5のゴブリンエンペラーになるには、更に条件が厳しい。

 神から推薦を受けて魔王となることor自分が一国一城の主でかつ魔王として宣言すること

 自分自身がゴブリンパラディンであること

 ゴブリンパラディンを複数人従えていること

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ