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その頃の冒険者ギルド

 バダルライン卿がエリアマスターになって1か月が経った頃。

 私……マミエルのハトは冒険者街の様子を監視していました。

 バダルライン卿が前に所属していらっしゃったギルドでは、複数の依頼人が受付嬢に詰め寄っていました。


「おい、どうしてうちの仕事はいつまでもやってくれないんだ!?」

「そ、そうは仰られましても……我々にも都合が……」

「そういうことなら、うちの仕事は全部、他のギルドに回すぞ」

「ま、待ってください。すぐに手の空いた者を手配させます」


「おい、前に依頼したゴミ出しの件だが……路地裏に不法投棄されていたぞ!」

「そ、それは……」

「おかげで、うちの評判がガタ落ちじゃないか! 真面目に仕事をしてくれたシュジンのような奴はいないのか!?」

「あ、あの者は、シルバー階級の方を襲っているので……」

「大方、お前たちが変な仕事でもさせたんだろう!」


「おい、肥料は一体いつ輸送してくれるんだ!?」

「申し訳ありません。すぐに手すきの者を手配……」



「お、おい、大変だぞ……みんなー!」

 商人風の男性が駆けこむと、複数の依頼人と受付嬢はそちらを見ました。

「どうした?」

「ブロンズ階級とアイアン階級の貧民どもが、一斉蜂起したらしい!」

「な、なんだってぇ!?」

「なぜ急に!?」

「何でも、寒村で大事にされていた喋るシカを、ゴールド階級のやつが射殺したことが原因らしい」

「罰当たりなことを……」

「とにかく、すぐに戻るぞ!」


 依頼人たちは我先へとギルドを出ると、受付嬢も大声で叫びました。

「皆さん、手の空いている方はすぐにギルドの守りを……」

「……」

「……」

「聞こえねーのか、さっさと動けアイアンとブロンズども!」

 その直後に、冒険者の1人が投げたナイフが、受付嬢の頬を掠めて壁へと突き刺さりました。

「……え?」

 ギルド員たちは全員が受付嬢を睨みつけています。

「今まではよくも好き放題やってくれたな。シルバー階級のねーちゃん」

「あいにくだが、もうお前さんの思い通りにはならないぜ」

 ギルド員たちは一斉に武器を手に取りました。

「ブロンズとアイアンの革命だとよ。こりゃいいや……俺たちも便乗させてもらおうぜ!」


「や、やめてくれーーー!」

 別の部屋では、プラチナ階級の貴族の青年が、複数の冒険者たちに引きずられてきました。

「ざまあねえな坊ちゃん!」

「そいつは傷つけるなよ。お貴族さんが高い身代金を払ってくれるからな」

「合点です!」


 冒険者たちは大笑いすると、そのうちの1人が叫びました。

「よし、シルバー階級以上のヤツを残らずひっとらえろ。それから……ギルドにあるモンは何だって貰っていくぜ!」

「おう!」


 これは一大事です。すぐにハトは飛び立つと我々の元へと戻りました。

【コラム:イルースィヴ一族の角】

 イルースィヴ一族の鹿たち(牝も含む)は、毎年4月ごろに角がとれ、すぐに新しい角が生えてきます。

 新しい角は順調に伸びていき、秋ごろになると成長が終わります。


 年齢によって角の長さや形には違いがあり、1歳のときはまっすぐ。

 2歳になると枝分かれし、3歳になると3本枝になり、4歳になると複雑な角になります。


 因みに、登場時のイルースィヴの角はまっすぐです(つまり1歳)

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