表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/54

真の敵の出現

 ミエルが跪いて報告した。

「予想通り、カナッグ様が勝利を収めました」

「我が角はきちんと役に立ったようじゃな」

 イルースィヴは「さて……」と言うと俺を見た。


「名を言えない者……その正体が誰かという話だな」

 イルースィヴは頷いた。

「うむ。この地区にいたシカは……余、ロプ、カナッグ、ゴールド階級に射殺された者、そして……父上じゃ」

 ロプが頷くと同時に、父親アサルトも出てきた。


「予想通り、不死者の軍団を操っていたのは殺害された者じゃったな」

「不死者と交戦して倒したカナッグも除外だな」

 イルースィヴは鋭くアサルトを睨んだ。

「さて……そろそろ正体を教えてくれんかの父上……いや、何と呼べばよいのかの」


「本物のアサルトに似ていると……我ながら思っていたのだがな」

 アサルトを名乗っていた者はイルースィヴを眺めた。

「どうして、余が本物でないと気付いた?」

 イルースィヴは目を細めた。

「気づいたのは、ほんの最近じゃよ」

「そうか……? お主はもっと前から気づいていたじゃろう」

 ロプは微笑を浮かべると、昔話をはじめた。


――――――――

――――

――


 ロプが語りはじめたのは、俺たちがロプ軍団を破った直後のやり取りだった。


「何も言い返せん。好きにするがよい」


「そうか。ではその首を貰うとしようか」

 弓を引き絞ると、背後から声が聞こえてきた。

「まあ待て、バダルライン卿」

 この声は……


 姿を見せたのは、やはりイルースィヴだった。

「何じゃお主……我を笑いに来たのか?」

「違う。ちと耳を貸せ」

「その手には乗らんぞ……落ちぶれても我は……」

「いいから貸せ」

 そう言いながらイルースィヴはロプに近づき、小声で何かを囁いた。

「実はの、この森の奥深くでこんなものを見つけた」

「人間の骨……ん、ちょっと待て、これは!?」

 ロプは一瞬だけ後ろを見ると、声を殺しながら言った。

「お主に、これがなんだかわかるか?」

「相棒じゃろう!?」

 イルースィヴは頷きながら何かを囁き続けた。

「そう。これは互いを自分の分身とさえ呼び合った……父の相棒アレックスの遺骨じゃ」

「なるほど。お主がこんなマナもないような土地を支配するなど……妙だと思っておった」

「……」

「……」

「見たところ、子孫と思われる者が混じっているが……伝えてあるのか?」

「伝えておらん。奴の手の者がどこに紛れているかわからぬからな」

「慎重なイルらしい判断じゃな。じゃが目星はついているのじゃろう?」

「父上と例の者は、同じ毛色をしておるの……」

 ロプは不敵に笑った。

「なるほど。お手並み拝見と行こう」


 2頭はしばらく小声で囁き合うと、やがてこちらを見た。


――――――――

――――

――


 ロプは笑みを浮かべながら言った。

「では、そろそろ……イルースィヴに言い当ててもらいたいものだ」

「そうじゃの。一角獣トレンチ」


 大鹿アサルトの角が外れると、姿が変わっていき、鹿毛色の一角牝馬トレンチが姿を見せた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ