冒険者街のカナッグvsシカ族の忌子
12月上旬の夜。
冒険者街の周囲を無数の骸骨戦士たちが取り囲んだ。
「この、気色悪い奴らめ……」
冒険者の1人が唸ると、別の冒険者は石を手に取った。
「奴らに矢は効果がねえ。コイツでぶっ壊すに限る」
骸骨戦士はワラワラと進軍を開始すると、冒険者たちは一斉に投石を行った。
石は破城槌を運んでいるウシや人間の骨を打ち砕き、梯子をかけて上がって来ようとする骸骨も容赦なく転落させた。
「梯子を落とせ!」
「おう!」
度重なる戦闘を経験してきた冒険者たちは、その練度の高さを不死者たちに見せ付けた。
骸骨は次々と落下して地面で崩れ、また這い上がろうとするも、冒険者の投げつけた石を受けて崩れていく。
骸骨戦士たちの大半が戦闘不能になると、戦いを見守っていた黒毛のカナッグも叫んだ。
「よし、一気に制圧せよ!!」
城門が開くと、冒険者たちは我先へと打って出た。
残った骸骨戦士たちは応戦しようとするも、次々と冒険者たちに返り討ちに遭っていく。
「怯むな、いけー!」
「冒険者魂を見せてやれ!」
冒険者たちの攻撃は緩まない。
本陣前には、強い瘴気を纏った骸骨戦士たちが守りについていたが、冒険者たちは次々と骸骨を撃破し、遂に本陣へと突入した。
本陣の中には重臣と思われる、鬼族だったと思われる骸骨やユニコーンの骸骨も待機していたが、冒険者たちは数の利を持って亡者たちを圧倒。
鬼やゴブリンパラディンの骨を撃破すると、何人もの戦士で取り囲んでユニコーンの骸骨も撃破した。
「よし」
戦士たちは剣を握り直した。
「鬼が出るか……それとも蛇が出るか……」
「ヴァルハラで会おう!」
戦士たちはお互いに頷き合うと、一斉に奥へと突き進んだ。
そこに待っていたのは、骸骨姿となったシカだった。
しかし、その足元には無数の魔文字が彫り込まれ、ろうそくや水晶が配置されている。
「こ、この……魔方陣は!?」
「気を付けろ……ヤバいものが来るぞ!」
骸骨だけになったシカは、不敵に笑うように口を開くと魔方陣の書かれた地面から浮き出るように、巨大な骨が姿を見せた。
「ど、ドラゴン……スケルトン!?」
「で、でけえ!!」
ドラゴンスケルトンは、骨だけになったシカを咥え、そのままかみつぶした。
すると周囲に瘴気が燃え広がるように現れ、瞬く間に真っ黒なドラゴンとなって近くにいた冒険者たちを尻尾で薙ぎ払った。
「ごぎゃ!?」
「がほぶ!」
冒険者たちの何人かは臆せずに向かったが、次々とドラゴンは尻尾や腕で薙ぎ払い、攻撃を受けた冒険者は一撃で倒された。
カナッグが険しい顔をしたままドラゴンスケルトンを睨む間も、ドラゴンは冒険者たちを薙ぎ払いながら進み、城門近くまで近づいてきた。
すると、冒険者たちの戦意も弱まり戦っていた者だけでなく、側に控えていた元ギルドの受付嬢まで悲鳴をあげて逃げ出した。
「愚か者が……」
カナッグはそう呟くと、見覚えのある角を咥え、自らの角を光らせた。
すると、冊子がひとりでに浮き上がり、ページをペラペラとめくっていく。
「ゆけ、雷のドラゴン……この不埒な亡者に鉄槌を下すのじゃ!」
彼が出現させたものも……ドラゴンだった。
現れたホワイトドラゴンは、唸り声と共にサンダーブレスを見舞い、ドラゴンスケルトンを一撃で粉砕した。
「え……あ……?」
半泣きになりながら逃げ回っていた元ギルドの受付嬢は、カナッグと目が合った。
「我が身を犠牲にしても、我を守るのではなかったのか?」
「あの……その……これは……」
カナッグの表情から笑みが消えた。
「貴様は、そこの屋根にでも登って……一生、風見鶏でもやっておれ!」




