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冬備えの季節

 俺自身のマナが1000。土地からは850。ニンフのブースト170。

 マミエルから479。エルフィーから242。アイラから320。ファルシオン……と言いたいところだが、代理のクリスから180。そしてロプからトレンチが代理となり138。

 全部足すと3379。


 それに、前月繰り越し分1803を足すと……5182ポイントとなる訳だ。

 次に支出が天使2人に200ずつ。4782ポイントが残った。


――あの、バダルライン卿

「おお、フェアリーたちか、どうした?」

――冬に備えるために、木々にマナを与えたいのです

「幾つだ?」

――特に南側に十分なマナを与えたいので……2000ほど頂けないでしょうか?

「わかった」


4782→2782


 また中ボスを雇おうかと思ったとき、ちょうどユニコーンのトレンチがやってきた。

「あの、バダルライン卿」

「おお、トレンチ……どうした?」

「実は、領内を偵察しておりましたら……ブラックビーチ地方から逃げ出して来たゴブリンやオオカミが増えていることがわかりました。私は戦闘向きではありませんので……」


 確かに、野生動物が闊歩している森に牝馬1頭というのは、幾らなんでも危険すぎるな。

「中ボスの中に、使えそうな者はいたか?」

「私の言うことを聞かなそうな者や、下手をしたら私を襲いそうな猛獣ばかりです」

「……なるほど」


 俺はニンフのイオシフィナを見た。

「この地域をイオシフィナに任せることはできるか?」

 イオシフィナは思案するように視線を上げると、やがて言った。

「私自身は霊力を持たないので、トレンチ殿かミエル殿をエリアマスターになさるのがよろしいかと……」

「なるほど。わかった」


 天使のミエルが言った。

「我々はどうすれば?」

「ゴルアースの中心部がここであることに変わりはない。君はトレンチと協力して情報収集を続けてくれ」

「わかりました」



 俺は、ゴルアースの南地区に踏み込むと、すぐに獣の気配を察知した。

「なるほど……これはトレンチも嫌がる訳だ」

 迷わず、ダンジョンマスター帳に手を伸ばすと、蛇女ラミアの特集が行われていた。

「ラミアか……これから冬になることを考えると、厳しいか」


ーーそんなことは、ありませんよ


 今のは、ラミアの声だろうか?

「営業か?」

 そう囁くと、すぐに答えが返ってきた。

ーーこの形だからすぐに不気味がられてしまうのよ。ってグチってる場合じゃないわね


 声のトーンが営業のモノらしい淡々としたものになった。

ーー下半身はヘビみたいな身体つきにみえるけどれっきとしたデミヒューマノイドよ。だから真冬でも冬眠することはないわ


「その様子だと魔道士か……霊力は?」

ーーその通り……霊力なら400程度

 

 悪くない使い手だ。あれを聞いてみるか。

「給料はどれ位を希望する?」

ーー300くらいいただけないかしら?

 300か。妥当なところだろう。


「承知した。マスター帳を渡すから出てきてくれ」

 そう言った瞬間、俺のすぐ側の藪がゆれたが、無視して頭上に視線を向けた。

ーーさすがはバダルライン卿。いまのを見破るとは……

「悪ふざけが過ぎるぞ」

 どうやらコイツも、ひと癖あるようだ。


「さっき、霊力が400あると言っていたな。それなら文官として君を雇うこともできる。文官なら平定し終えた土地の勤務になるが……どうする?」

 ラミアは思案する様子で視線を上げた。

「文官としての勤務がお望みなら、そうするけど……私としては武官の方がいいわね」

「ほう……魔法の修業をしたいのか?」

「それもあるけど……個人的な趣味があってね」

「趣味?」

 聞き返すと、ラミアは細い舌を出しながら不敵に笑った。

「スケベなオスをおびき寄せて縛るのって……楽しいじゃない?」


 ラミアの趣味の悪さに、思わず身を引いてしまった。

「大丈夫よ。味方には手を出さないから安心して」

「この土地に紛れ込んでいるゴブリンを残らず追い出すか捕えるかして平定してくれれば、君をエリアマスターに推薦してもいい」

 ラミアは満足そうに頷いた。

「それは腕が成るわね。私の名はロージー」

「美しいバラには棘があるということだな」


 俺は活動費として300ポイントをラミアのロージーに支払った。

「後は頼んだぞ」

「承ったわ。私のマスター」

 元の場所へと戻ろうとしたとき、背後からゴブリンの叫び声が聞こえてきた。早くも1体を捕らえたようだ。

「ん、このゴブリン……」

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