ゴブリン軍の出兵
「陛下……10月分のマナは如何でしたか?」
一見すると、月並みなセリフに見えるだろうが、これを口にしたのはゴブリンナイトである。
ゴブリンエンペラーは険しい顔をしながら言った。
「……ううむ、これでは偉大なあのお方に、上納マナを払えんな」
エンペラーは重い腰を上げた。
「決めた。出稼ぎに行くぞ」
その言葉を聞いた、ゴブリンパラディンやナイトたちは目を輝かせた。
「おお、出陣ですね!? どこに?」
「決まっているだろう。白シカのイルーなんちゃらをぶっ潰す!」
「おおおおおおおお!」
「連中は、我らの領土を奪った侵略者。目にモノ見せてやりましょう!!」
エンペラーは剣を天高くかざした。
「出陣だ! 目指すは南ゴルアースと、南バダルラインだ!!」
「多面作戦キターーーーー!!」
このやり取りは、マミエル、ミエル、トレンチの使い魔鳥にしっかりと聞かれており、イルースィヴや俺の耳へと入ることになった。
「……というワケで、間もなく大軍が押し寄せてくるわけじゃな」
イルースィヴが言うと、ロプも頷いた。
「ゴブリンの皇帝が来るということは、ゴブリン傭兵を雇うことはできんな」
俺はすぐにフェアリーたちを見た。
「茨のゴーレムは作れるか?」
――6台ほどでしたら可能です
「わかった。500ポイントで足りるか?」
――はい。早速、作業を開始します
マナの残り:3103→2603
「あとは、イオシフィナ……ここにいるストーンゴーレムをロプの応援に回すがいいか?」
「賛成です」
「代わりに新しいストーンゴーレムを注文する」
「え? そこまでしていただかなくても……」
「ここは要所だから、取られるワケにはいかない」
「わ、わかりました」
マナの残り:2603→2403
次に俺は、ファルシオンを見た。
「ファル、ゴルアースの西側に不穏な動きはあるか?」
「ミエルやトレンチが偵察しているけど、これと言ってないよ」
「わかった。ユニコーン隊はイオシフィナの側に集まってくれ」
「うん」
北側のエルフィーや東側のアイラは俺を見た。
「僕たちは?」
「別の勢力が便乗して攻めてくるかもしれない。お前たちは自分の所領を守りながら、戦況を注視してくれ」
「わかりました」
間もなく、双方の部隊の編成がわかった。
シュジン隊
リーダー:シュジン(人間・狩人)
ユニコーン:ファルシオン、クリス、トレンチ、サーシュワータ
天使:ミエル、ウカガエル
妖精:イオシフィナ
ゴーレム:ストーン×1、茨×3、クレイ×10
ロプ隊
リーダー:ロプ(シカ族・炎使い)
冒険者:ジェイコブ、ローガン
冒険者トークン:ジェイコブ隊8 ローガン隊6
ゴーレム:ストーン×1、茨×3、クレイ×3
ゴブリンエンペラー軍 ゴルアース討伐隊
リーダー:ゴブリンパラディン
ゴブリンパラディン×2
ゴブリンナイト×4
ホブゴブリン×8
幼体ゴブリン×200
およそ2時間後に、ニンフのイオシフィナは俺を見た。
「たった今、ゴブリンの先鋒部隊がミニトレントの側を通過しました」
「いよいよか……」
遅れること10分。今度はミエルのハトが飛んできた。
「バダルライン卿、たった今……ロプ隊とゴブリン軍の戦いが始まったようです」
「ゴーレムの配置は?」
「既に完了しております」
この戦いを勝てるかどうかは、どれだけ早くロプ隊が俺たちと合流するかにかかっている。
できれば、ゴーレムが全滅するまでの間に、本隊がここまで退いてくれることが理想だ。




