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決して背を見せない豪傑

 マミエルは、ゴルアース東部で戦争準備を進めるムキムの前に降り立った。

「この火急の折に、何用かなマミエル殿?」

「主君イルースィヴ様からのご命令です。すぐにここ……ゴルアース東部から撤退せよ」

「いくら主君の命でも、それだけは聞けませんな」

「敵に背は見せられないから……ですか?」

 そう聞き返すと、ムキムは頷いた。


「我ら川に住む者の性だと理解して頂かねばなりません。ご覧の通り足も遅いゆえ」

 そう言うとムキムや部下のリザードマンたちは笑った。


「文官であるヘンリーは既に撤退させましたので、ご安心を」

「……わかりました。もしマナポイントが残っているのならクレイゴーレムを使ってください」

 マミエルが言うと、ムキムは不思議そうな顔をした。

「クレイゴーレムを?」

「はい。これは、聖樹公とバダルライン卿からの指示です」

 ムキムはかしこまった様子でお辞儀をした。

「しょ、承知!」


「ムキム様!」

 傭兵ゴブリンが走ってきた。

「前衛部隊が……敵軍と交戦開始しました」

「あいわかった」


「ムキム殿、私はここで情報収集を行います」

「うむ。我が戦いぶり……存分にご覧ください」

 そう言うとムキムは叫んだ。

「よしお前たち、クレイゴーレムを10ほど投入する。要所への配備を急げ!」

「おう!」


 それから1時間ほどで、伝令係のゴブリンが駆けつけた。

「申し上げます! 前線を守っていたゴブリン隊が壊滅……潰走いたしました」

「ええい、堪え性の無い奴らめ!」

「損傷率はどれくらいですか?」

 マミエルが冷静に尋ねると、ゴブリンの伝令はかしこまった様子で言った。

「20名のうち、隊長のホブゴブリンと8名のゴブリンが戦闘不能です」


 マミエルは頷いた。

「損害率4割強ですか。それほどの被害を受ければ撤退は止むを得ません。後方まで退避して再編成の準備を」

「ははっ、ありがたきお言葉!」


 ムキムは興奮を抑えるように腰を下ろすと言った。

「まあ、前衛部隊が突破されるのも計算のうちだ。ゴブリンB部隊は?」

「予定通りヒット&アウェイを行う予定です!」


 ゴブリンB部隊はムキムの指示通り、森の中からショートボウを用いてのゲリラ戦を行った。

 すると、ロプ軍の動きは見る見る遅くなり、日暮れになっても第2地点である密林の空き地まで到達しなかった。


「ムキム様、夜襲は如何なさいますか?」

 伝令役のゴブリンが質問すると、ムキムは笑った。

「今日のところは監視ていどに留めよ」

「ははっ」


 別のゴブリンが走ってきた。

「申し上げます。クレイゴーレムの配置が完了いたしました」

「ご苦労」

 そう言うと彼はマミエルを見た。

「恐らく、明日と明後日が厳しい戦いになるでしょう」

「そうでしょうね。何せロプ側には圧倒的な物量があります」


 彼女は夜闇を睨んだ。

「3日……持ち堪えられれば上出来でしょうか」

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