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ロプの尖兵たち

 間もなく、マミエルが次の情報をもたらした。

「バダルライン卿、敵の攻撃を受け……クレイゴーレム2台が壊されました」

「敵は?」

「こちらに向けて行軍を続けている模様」

「あと10分くらいで、ここに来るな」

「恐らく……」


「ウッドゴーレム1、茨のゴーレム2の配置は?」

 フェアリーに話しかけると、彼女は頷いた。

――完了しています


 俺は頷くと、ダンジョンマスター帳を開いた。

「あと必要なのはボスキャラだな。これでも……配置してみるか」

「ストーンゴーレムですか」

「ああ、1台につき200ポイントだ。ボスには打ってつけの代物だろう」


 俺は目だけで合図をすると、マミエルたち天使は上空に飛び去り、レクシーたち狼隊も物陰へと隠れた。

 そして、ボス役であるストーンゴーレムを召喚。

 残りのマナポイント2035を確認すると、俺も身を隠した。


 マミエルの見立ての通り、敵本隊は10分ほどで俺のアジトへと到着した。

「はぁ……何とかの一つ覚えみたいにゴーレムばかり配置しやがって……なんて非常識な奴らだ」


 コソックは剣を振り上げた。

「だけど、テメーらの活躍もここまでだ……覚悟しろ。ぶっ潰せ!!」

「おおおおおおおお!」

 ゴブリンパラディンが雄叫びを上げると、他のゴブリンたちも一斉にアジトに向かってきた。

 もちろん、配備していたウッドゴーレム、茨ゴーレム、そしてストーンゴーレムが応戦する。


「ま、またゴーレムかよぉぉぉぉぉお!」

 しかも、茨のゴーレムは俺が考えていた以上に厄介な代物で、腕の振り回しや体当たりを見舞うだけで、近くにいたゴブリンたちを戦闘不能に陥れる兵器だった。

 茨ゴーレムが1台倒れるだけで、ホブゴブリン1体、ゴブリン13、4体が倒れ、ストーンゴーレムだけになった時には、既にゴブリン部隊の戦闘力は大きく削いでいた。


「い、いけ……後は、あの岩のようなゴーレム1体だぞ!」

「おおおおう!」

 ゴブリンパラディンがメイスを振り下ろすと、ストーンゴーレムの体にはヒビが入ったが、メイスも折れて痛み分けの状況となった。


「今だな……」

 俺はその瞬間に弓を引き絞ると、迷わずゴブリンパラディンに向けて放った。

「のぐお!?」

 矢はゴブリンパラディンの鎧の付け根に命中し、瞬く間にゴブリンの体に毒が回っていく。

 そして、俺の一撃を合図に、レクシー率いるオオカミ隊が藪から飛び出した。


 突然、リーダーを失ったためだろう。ゴブリンたちは混乱した。

 ゴブリンパラディンの次に地位のあるゴブリンナイトが迎撃の命令を出した直後に、マミエル隊が上空から矢を放ち、ゴブリンナイトとホブゴブリンを倒した。


 唯一、残っていたコソックは「戦え! 戦え!」と叫びながら、逃げ出していく。


「よし、レクシー隊は逃亡するゴブリンたちを1匹でも多く倒せ」

「わかった!」


 俺はすぐにマミエルを見た。

「なんでしょう?」

「ロプとやらの戦力はわかるか?」

「ハトに偵察させたところ……ゴブリンを中心とした部隊を幾つか運用しているようです」

「そうか……なら、目には目をだな」


 俺はそう言うと、相方のジェイダンに1000ポイントを渡した。

「おい、このポイントは何だ?」

「俺が召喚するより、お前が召喚した方がゴブリンたちの士気も上がるだろう」

「……つまり、ロプに仕返しして来いってことか」

 頷くと、ジェイダンは苦笑しながら言った。


「聖樹公、よろしいですか?」

「うむ。もし主が勝利したら……ゴルアース地域へと加増転封としよう」

「そりゃ。腕が鳴りますね。お任せください!」


 ジェイダンは1000ポイント払い、ゴブリンパラディンを中心とした勢力を傭兵として呼び出した。

「……な、何でしょう。南バダルライン卿?」

 ゴブリンどもは相変わらず、俺と距離を取ってやがる。やっぱり、ジェイダンに任せて正解だったか。


「ロプとかいう魔王が支配するゴルアース地域に攻め入る。力を貸せ」

「承知!」

 ゴブリンパラディンは、手下のゴブリンナイトやホブゴブリンに命じた。

「おら、行くぞ……お前たち!」

「おう!」


 俺はマミエルを見た。

「マミエル、お前たち天使部隊もジェイダンに加勢してくれ。それから、レクシー隊とアイラ隊も領内の掃討が終わり次第、ジェイダン隊に加勢するように指示して欲しい」

「早速、仰せの通りに……」


 さて、残りは1035ポイントか。これは……何かあった時のために温存しておこう。

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