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イルースィヴ軍の反撃

 ジェイダンの治める南バダルラインでも、ゴブリン部隊は壊滅していた。

 しかし、ゴブリンたちは思った以上に奮闘したため、レクシー隊のオオカミは1頭が死に、2頭がケガをし、2頭が逃げ出すという状況となった。


「サンキューなレクシーちゃん、これ……頑張ってくれたお礼だから」

「ありがとう」

 ジェイダンはお礼としてレクシーに100ポイントを送っているが、自分たちのポイントは大丈夫なのだろうか?


 まあいい。それよりもジェイダンには相談したいことがある。

「ところでジェイダン」

「どうした?」

「ゴブリンナイトがいなくなった今、バダルライン西部を平定すべきではないかと思うのだが……どう思う?」

 ジェイダンは少し考えると頷いた。

「確かにそうだな。この機会を逃したら、新たなホブゴブリンやゴブリンナイトが現れるかもしれん」


 2人でイルースィヴを見ると、彼も頷いた。

「全会一致で決まりじゃな。よし、バダルライン西部へと進撃するぞ」


 俺とジェイダンは、残った100ポイントでゴブリン傭兵を雇うと、先鋒としてバダルライン西部を討伐するように命じた。

 そして、半日ほどでホブゴブリン2体が報告しに来た。

「聖樹公、予定通りバダルライン西部を平らげてまいりました」

「ご苦労」

「是非、モンスター協会から送られてくるアンケートにお答えください」

「もちろんじゃ」


 ゴブリンたちはそう挨拶をすると姿を消したが、俺は何だか不満に思った。

 どうして俺のことを避けるんだよ……やっぱり名前に問題があるのだろうか?


「さて、シュジン……無事に西部を平定したわけじゃが、この土地はお前に任せる」

 わかったが、ジューク中央部はどうするのだろう?

 そう思っていたら、イルースィヴは俺のフロアマスター帳を見た。

「あと、その冊子を寄越せ」

「ああ」

 手渡すと、イルースィヴは角を光らせた。


「これで大丈夫じゃろう。開いてみるがよい」

 言われた通りに開いてみると、ページ数が増えていた。

「これ……もしかして!」

 イルースィヴはにっこりと笑った。

「ダンジョンマスター帳じゃ。バダルラインの守の名に恥じない活躍を期待している」


 俺はここでやっと、イルースィヴの真意を理解した気がした。

 こいつは最初から、俺を地方の雄とするためにバダルラインという名をつけたように思える。

「わかった……任せてくれ!」


 さて、まずやることは……これしかないな。

「マミエル。冊子を貸せ」

「は、はは!」

 俺はマミエルにバダルライン中央部を与え、冊子をエリアマスター帳へと昇格させた。

「あ、ありがたき幸せにございます!」

 そう言った直後に彼女の翼は光り、長く立派なものになった。どうやら神格が上がったようだ。

「昇格させて頂いたので、以後のお給料は返上させていただきます」


 マミエルはそう言うと、珍しく物欲しそうな顔をした。

「あと……バダルライン卿、お願いがあります」

「なんだ?」

「フローレンス殿を、このまま中央部に留め置いて頂けませんか?」

 フローレンスは文官だから、敵のいない土地にいた方がいいかもしれない。

「そうだな。わかった。バダルライン西部へはレクシーを連れて行くとしよう」

「ありがとうございます」


 さて、これから西部の統治を始めるかと思ったとき、マミエルのハトが飛んできた。

「どうしたのですか?」

「……」

「……」

「なるほど」

「どうしたマミエル?」

「どうやら王国の軍隊が冒険者街に近づいているようです」

 王国軍も遂に本気……というワケか。果たしてどちらが勝つのだろう?

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