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肉球3 ねこパンチ先生の担当教科

雨にも負けず

風にも負けず

雪には負けて、コタツで丸くなる


        ミャーざわ賢治


 しばらく、机の整理をしていると、職員室にチャイムの音が響きました。いよいよ、お仕事開始です。全体で連絡事項を確認した後は、学年ごとに打ち合わせです。私は、ねこパンチ先生の所属する高校三年生の打ち合わせに同席しました。学年主任(学年のまとめ役)の先生が、立ち上がると連絡事項を確認していきます。


「先生方おはようございます。三年生は、もう登校日では、ありませんが質問をしに来たり、自習に来たりする生徒は何人かいますので、見かけたら、声をかけてあげて下さい。一般選抜の質問応対も引き続きよろしくお願いします。他に連絡のある先生は、いらっしゃいますか?」


すると、ねこパンチ先生が机の上に飛び乗り言いました。


「私から一点お願いします。」


すると、学年主任の先生が、私の方を見て言いました。


「犬丸先生、ねこパンチ先生を持ちあげて下さい。」


「え?……あ、はい!」


私は、ねこパンチ先生を抱っこして持ち上げました。するとねこパンチ先生は、話し始めます。


「生徒の要録の作成をお願いします。クラウドにExcelのファイルをアップしてありますので、そちらに生徒の所見や取得した資格等を入力してください。2月中にお願いします。」


ねことは、思えない発言をしています。それにしても、ねこパンチ先生は、もふもふしているし、いい匂いがします。ああ……もっとモフモフしていたい!


「犬丸先生。もう、おろしてくれて大丈夫だよ」


「はっ!! すみません!!」



 ねこパンチ先生は、高校3年生の学年に所属している。もう、彼らは受験準備で学校には来ないので、先生たちは生徒の卒業に向けて書類作りに没頭していた。私は、その間自習室に来ている受験生の質問応対を行っていた。



 2時間目が終わった頃でしょうか。ねこパンチ先生が話しかけてきました。


「犬丸先生、これから授業に向かいますから、お手伝いをお願いします。」


 ねこパンチ先生の授業をサポートするのも私の仕事です。高校の先生の授業を間近で見れるのも、教育実習以来です。私は、やる気満々で返事をします。


「はい! なんでも言って下さい。」


ねこパンチ先生は、机からタブレットを取り出し、言いました。


「では、教室に行きましょうか。先生、このタブレットを持ってください。それから、このプリントもお願いします」


 私は、タブレットとプリントを持って、ねこパンチ先生のあとについていきました。そして、2年生の教室の前で足を止めて……。


「扉を開けていただけますか?」


「はい!」


私は、教室の扉を開けました。教室に入ると生徒たちが、着席して待機しています。



「起立! 気を付け! 礼!」



 授業が始まりました。私が、教卓にタブレットを置くと、ねこパンチ先生は、プロジェクターの電源をONにし、タブレットを操作しました。黒板には、タブレットで開いたスライドが映し出されます。なるほど……これなら、ネコでも授業ができます!


……いや無理があるだろ!!!


 私が、心の中でツッコミを入れていることなどお構いなしで、授業は進みます。どうやら、物理を教えているみたいですが、文系の私にはちんぷんかんぷんです。ですが、生徒は話を聞き黙々とノートをとっています。正直異様な光景です。


「では、テストの解説は以上ですので、返却したいと思います。犬丸先生、さきほど私はプリントを返却してください。」


「わかりました。」


私は、先ほど渡されたプリントに目をやると、そこには、〇の代わりに肉球スタンプが押されているテスト用紙であることに気が付きました。なにこれ……ちょっとカワイイ。


授業が終わり、教室を出ると、隣の教室で授業をしていた先生がねこパンチ先生に声をかけます。


「ねこパンチ先生授業ですか?お疲れ様です。そちらの方が、新しいサポートのチューターさんですか?」


その先生は、身長がとても高く細長い外見の男性教師です。ねこパンチ先生は、いいました。


「おや、木林きばやし先生、お疲れ様です。そうです、彼女が犬丸先生です。来年度からは、うちで教諭として働くようですよ。」


「犬丸ミミです。よろしくお願いします」


「ご丁寧にどうも。木林と言います。ここの卒業生なんです。よその高校のことは、詳しくないから、ぜひ君の話も聞かせてよ」


「ええ、時間のある時にでも。この学校の卒業生なんですね、それじゃぁ、担任の先生ってどなただったんですか?」


「ん?ねこパンチ先生だよ」



「え!!!!!??」



「もうずいぶん昔の話だけどね」


私は、ねこパンチ先生の方を向き質問した。


「先生!一体何歳なんですか!!!?」


ねこパンチ先生は、人差し爪を立て、爪を振りながら言った。 



「犬丸先生、人に年齢を聞くのは……“ニャンセンス”ですよ。」





「…………ねこパンチ先生………………面白くないです。」







最後まで読んでいただきありがとうございます。感想などがありましたらぜひお願いします。大変励みになります。ブックマーク、レビューなども大歓迎です。よろしくお願いします。

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