表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/3

肉球2 ねこパンチ先生のモーニングルーティン

吾輩は猫である。その名もねこパンチ!

            にゃつめそうせき


 朝7時、私は学校の職員室へと足を運んだ。昨日7時45分に来るよう言われたけど、気合を入れて早めに来てみました。普通のチューターの先生たちは、専用の部屋があるのだけれど、私は特別で職員室に自分の席があります。なぜなら、私の業務はちょっと特殊だからです。


 この時間は、7時という時間は、始業の1時間以上前の時間です。職員室には、人があまりいません。私は、先生たちに挨拶をしながら、自分の座席に着きました。これが、私のデスクか〜。今日から私はここで働きます! いつも以上に気合が入ります。私は、カバンから荷物を取り出して身辺整理をすることにしました。すると、私に声をかけてくる先生がいます。


「犬丸先生おはようございます。ずいぶん早いですね」


「おはようございます! ねこパンチ先生、今日からよろしくお願いします」


 私の隣の机に、新聞を口にくわえたネコさんが、飛び乗りました。背中には、謎のポーチを装着し、首には黒い蝶ネクタイが巻かれています。この人は、私の先輩先生で色々指導をして下さる《ねこパンチ先生》です。マジもののネコさんです! 私と会話できているのは、 《猫言語翻訳機~にゃうにゃう~》という謎の装置を使っているからです。これのおかげで、彼?は、学校の先生が出来ている、と言うわけです。


……いや、そうはならんだろ!!!


 実のところ、私はまだこの状況についていけません。いくらコミュニケーションが取れたって、それで教師が務まってたまるもんですか!!大体、なんでみんなこの状況を受け入れてるの!? 


 一方のねこパンチ先生は、机に新聞を広げて読んでいます。新聞を読む猫なんて初めて見ます。よくよくデスクを見てみると、ねこパンチ先生の机は、物が少なく整理されていました。そして、置かれている物には、全て不自然な取手とってがついています。多分、自分で荷物を運ぶためなんだと思います。それから、高さが20センチくらいの木箱が机の真ん中に置いてあります。それにしても、この先生……私は、彼に質問します。


「ねこパンチ先生。先生は、何時に出勤しているんですか?」


ねこパンチ先生は、答えます。


「6時には職員室に居るよ」


「6時!! そんなに早く来て何をしているんですか!? ……ハッ。聞いたことがあります。やっぱり教師ってブラックなんですか!?」


ねこパンチ先生は、私の方を見て言いました。


「私は、きちんと定時に帰っているよ。私は、この体だから、他の先生に仕事をお願いすることも多い。だから、仕事を多くもらっているんだ。朝早く来て、その仕事をしたり、職員室の換気をしたり、郵便物を該当の先生に配ったりとか一通りね。」


この人、ネコなのにちゃんと仕事してるぅ〜!!!

そして! 私には、もう一つ疑問が浮かびました。


「ところで、先生。学校の仕事って……パソコン使いますよね? 一体どうやって、パソコン使ってるんですか!?」


 すると、ねこパンチ先生が、机の棚からノートパソコンを取り出し、机の上の木箱の上に置きました。そのパソコンにも不自然な取手がついています。彼は、そのとってを咥えて、ノートパソコンを開くと、パソコンの前でお座りをしながらタイピングを始めました。あの謎の木箱は、パソコン台だったようです。なんかもう、仕事環境が完成されていました。思わず、感心をしてしまいます。


 そうこうしていると、ひとりの先生が私たちの元に近づいて来ました。女性の若い先生です。なんなら、私と同じくらいの年齢に見えます。その先生は、ねこパンチ先生に言いました。


「ねこパンチ先生、お気遣いありがとうございます。お菓子ごちそうさまです。」


「いえいえ、最近残業が多いようですね。頑張るのは結構ですが、ご自愛もなさって下さいね。」


「はい、失礼します。」



「……ねこパンチ先生、さっきの先生は?」


「彼女かい? 最近残業が多かったみたいだからね。今朝、机にお菓子を置いておいたんだ。残業記録は、事務室のタイムカードを見ればわかるからね。残業続きの先生には、お菓子をあげたり、声をかけたりしているんだ。」



なんだそれ!? いい先輩だ!!



……でも、騙されませんよ!! それだけで教師が務まるはずがありません!! そう思っていると、今度は、ねこパンチ先生の方から私に話しかけてきました。


「犬丸先生、申し訳ない。私の背中のポーチから、インク壺を取り出して、蓋を開けてくれないかな?」


ねこパンチ先生は、私に背中を向けます。


「え? あ……はい。」


私は、ねこパンチ先生の背中のポーチからインク壺を取り出します。それにしても、ずいぶん毛並みがふわふわしています。………モフモフしたい!!


……ハッ。いけない!!変なことを考えてしまった。 私は、気を取り直して、そのインク壺をねこパンチ先生の机に置き、蓋を開けた。


すると、ねこパンチ先生は、どこからともなく出席簿を口に咥えて持ってきました。そして机の上に、出席簿を開き……


……シャキン!


右手から爪を露出させました。どういうわけか、一本だけ爪が真っ黒です。ねこパンチ先生は、その真っ黒な爪をインク壺に漬けると……その爪で出席簿にカリカリと記入を始めました。



この猫、本当に仕事ちゃんとしてるぅぅぅぅぅ!!!




最後まで読んでいただきありがとうございます。感想などがありましたらぜひお願いします。大変励みになります。ブックマーク、レビューなども大歓迎です。よろしくお願いします。……ねこパンチ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ