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作者: 鈴月詩希

 空を見上げると灼けるような太陽がその威容を高らかに示していた。伸びる影をも消し去る程である。逃れる様に軒下の影に身を隠すと、足元で涼やかな音が跳ねた。盥に張った氷水は流れる雲よりも早くその姿を消した。影を落とす庇をぼんやりと眺めると、風鈴がその非力を詫びるように歌っている。その様がどうにも可笑しくて、小さく息が漏れる。そう言えば今年は蝉達の鳴き声もどこか密やかに感じる。彼等ですらこの暑気には敵わないのか。入道雲の如く膨らんでいく取り留めの無い思考も、夏の熱に浮かされているからか。どうも座りが良くない。重たい腰を上げて冷蔵庫から麦茶と冷やしたグラスをふたつと切り分けられた西瓜を取り出し縁側まで運ぶ。西瓜を齧り麦茶を注ぎ、独りで飲む。背後から漂う線香の煙だけがどこか甘やかであった。

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