1/6
プロローグ
「拝啓
桜の香りが鼻腔をくすぐり、すっかり春めいてまいりました。
さて、あなたに贈るこの手紙は、もう何回目になるのでしょうか。あなたとの繋がりはこの手紙だけです。けれど、手紙でしかの細い細い繋がりなのに、もっと太く密度の高いつながりを今、感じています。私達には手紙しかないけれど、私は手紙だけで十分です。ごめんなさい、少し、嘘をつきました。本当は会いたい。会って話したい。けれど……ごめんなさい、止まらなくなりそうだからやめます。
私はあなたを愛しています。これからも、ずっと。
だから、私は、あなたを忘れません。忘れることなんて、できない。」
読んでくださった方に感謝を。
ありがとうございます。