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今日から学校と仕事、始まります。①莞

センターは私よ!!

作者: 孤独

並ぶのは、3 VS 3。

それはもう、戦争と言って良い。

現実世界で良くある戦争がここにある。


「ちょっとさぁ」

「なぜここで会う?」


左、

村木望月むらきのぞつき


対する右、

槌谷実麗つちやみれい


「そっち、傷だらけだけど。どーしたの?」

「いかんなぁ。お前等もだろ?合コンのつもりか?合戦してたように見えるぞ」


中央、

山寺沙耶やまでらさや


対する中央、

木見潮きみしお朱里咲しゅさとさき


「化粧、どうしたんですか?」

「してる。血化粧だよ」


右、

柳葉姫子やなぎばひめこ


対する左、

槌谷美咲つちやみさき



一体、何がこの6人にあった?


◇      ◇


こちらの発端は


「私達は合コンをするのよ」

「は?」

「へ?」


その話は一昨日から始まる。

村木に呼び出されたのは、沙耶と姫子の2人。

意外な組み合わせである。


「お前さ、僕や姫子とは、同じ出身じゃないだろ?なんの呼び出しかと思えば」

「清金とパピィはどーしたの?保坂とか」


正直、二人共。なぜに村木に呼ばれたのか分からない。しかし、理由は簡単。合コンだから。


「沙耶。あなたの頬の火傷。私の可愛さと対になるから。私がもっと可愛く綺麗に見えるでしょ?」

「は?」

「姫子。あんたは男にそこまで興味ないでしょ?認めたくないけど、可愛いし、話もできるし。盛り上げ役をお願い!」

「へ?」



今、超失礼な事を言ってきた。


「帰る。気分悪い」

「面白くない」


席を立つ、沙耶と姫子であったが。村木は引き止める。


「ちょっとちょっと。私のために恋のキューピッド役をやりなさいよ。数時間の間よ!幹事はやるから!いくらでも食べなさい!」

「ATM男を捜してるだけだろ」

「当て馬なんてやらないわよ」


しかし、村木はなんとか二人を説得する。今回の合コン相手は、超エリート大学の男達なのである。将来、有望な男達。


◇      ◇


そして、こちら側。

実はかなり急な合コンだった。ほぼ当日のことだ。

ビル内にある、一つのお店に集まったのは


「さて、合コンをする」


未婚の30代……


「今言った奴、死刑!」

「撲殺!!」

「捻り殺す!!」


年齢不詳の女性教員3人。木見潮、槌谷姉妹の3人は合コン相手を待つ。

優良会社のエリート軍団との合コン。(槌谷姉妹曰く)


「それでだが、誰がセンターだ?彼等が来る前に決めておこう」

「ごほっ、私でしょう。美咲。幹事と企画もしたんだから」

「姉さんは病弱で、唐突に血を吐くんだから端の方がいいわ」

「いかんなぁ、お前等姉妹は端。私が中央に座ることで収まりがいいだろう」



言い忘れたが。

木見潮達も、村木達も。とんでもねぇ身体能力を有する”超人”

美人女性という外見ではあるが、危険人物。女が男に求めるステータスがあるように、男だって女に求めるステータスがあるものだ。



ドゴオォォッ


「センターは殴り合いで決めるぞ!!」

「人数合わせの朱里咲さんがでしゃばるなぁ!!」

「お姉さんに逆らうとどうなるかー!げほぉっ!ごほぉっ!」


実麗の吐血もそうだが、3人の乱闘は自らの血だけでなく、店を大きく揺らし、騒がした。

壁も天井にも破壊の跡。というか、店があるビル全体が揺れるほどだ。



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



「なーに?この揺れ。地震じゃないでしょ」


そー言いながら、村木はめっちゃ化粧をして臨む、合コン。明らかな主役面。


「だりぃ」


完全な当て馬であることが分かっており、沙耶は迷彩服という女子らしからぬ格好。自衛隊員っぽく見えるが、頬の傷が修羅場を潜っていると伝えている。


「あんたの化粧の方が、なに?って訊きたいんだけど。盛りすぎじゃない?」


姫子もちょっとやってきました程度のお化粧。合コンの飯だけでなく、あとで別の店を奢れという要求を村木に掲示して引き受ける。目当ての男以外を惹きつけ、周りを盛り上げる役。


「ところでよ、席順はどーなってんの?」

「あんた、やる気なの?端よ端よ!」


合コンの数合わせに対して、とんでもねぇ事を言う村木。しかし、沙耶は別に動じない。この格好で分かる通り、合コンなどさせる気がないのだ。居心地が悪いから


「僕は3人全員、びびらせてやろうと思ってな」


お店のメニューを手に取ると、握る力のみでメニューを押し潰す。丸めたティッシュのように


「止めなさいよ、あんた!」


そーいう村木はオシボリにあるだろう、極めて小さい水分の全てを搾り出して、テーブルを濡らす。


「そーよ。一発芸大会じゃないでしょ」



ドンッ


その音。一番店内で響いて、注目を集めた。姫子は爪楊枝が入った円状の箱を、テーブルに全て突き刺した。当然、逆向きだ。テーブルに剣山ができた。見事な出来。


「盛り上げ役をやるんだから、私がセンターでいいよね」

「え?私好みの男を上手く、中央に座らせれば良いじゃない!第2、第3の候補が来るのよ!印象は大事!」

「合コンで位置が重要か?姫子の意見の方が理に叶ってる。端で喋れ。そもそも男が群がる女じゃねぇーよ、村木は。可愛くねぇーじゃん」

「うっせーな!ミンチにすんぞ、沙耶!!焼かれた雌ブタ!!」

「やんのか!?お前が僕に勝てるわけないだろ!!ペテン師女!!」


衝突しかける村木と沙耶。


「はぁ~、あ。私が中央に座るわ。あんた達、喧嘩しないで」

「な~~にぃぃ」

「口出しすんな!」


ドシンッ


村木と沙耶の両の拳を浴びる姫子。


「………あんた達」


口が切れて、血が出ると


「ふざけんのも大概にしろ!!」


姫子は素早く、村木に膝蹴り!沙耶に肘打ちをかます!!


「もう、こうなりゃ、バトルロワイヤルだ!!」

「生き残った奴が男を決める!いいねぇ!!」

「興味ねぇけど、この殺し合いは大歓迎だよ!!」



ゴゴゴゴゴゴゴゴ




さらに揺らすビル。逃げ惑うお客さん達。警報の音すら聞こえず、6名はこのビル内で。合コンの位置取りというだけで、暴れる。

それは20分以上も


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



そして、




ドガラシャアアァァァッ




終わった。

ビルは崩壊し、合コンは中止となった。



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