発見
「……」
新万が音によってドアの内部の様子を探る。しかし、彼は黙って首を横に振った。内部は完全に埋まっているという合図だった。そこに五つのドアがあったものの、結局どれも埋まってしまっているか潰されていると思われた。
となると、通路をさらに進んだ先に何があるのかということになるだろうか。埋まってしまっていてもその中には何らかの遺物がある可能性は十分にあるので、それは後程調べることになる。とにかく今は、この全容を探るのだ。
先にも述べたが、このスペースが築かれた頃にはほぼ社会は崩壊し、個々人がそれぞれ勝手に生存可能な空間を作っている状態だったが、こうやって通路が作られて他の空間と繋げられている場合もあった。ただそれは、助け合う為というよりは単純に同種の生物に出会い、子孫を残す為というニュアンスのものだったようである。既に発見された同様の空間から発見された<日記>から推測された状況だ。
社会性を失い助け合うことをしなくなっても動物としての本能は残っていたということだろうか。
氷の圧力に負けて大きく歪んだ通路を、渋詞と研果及び新万が進んだ。もちろん危険は想定されるから慎重に進むものの、命を落とす危険性については彼らは既に覚悟を完了している。無駄死にする訳にはいかないから慎重になるだけだ。
しかし、通路は、変形して見通しが悪くなっていた部分から少し行ったところで途絶えていた。だがその時、三人は揃って、
「何だこれは…」
と声を上げていたのだった。通路は途中で途切れていたのだが、それは圧し潰されて無くなっているのではなく、そもそも作られていなかったのが分かる状態だった。しかも、その場に残されていたもの。
「シールドマシン……か?」
渋詞が呟いた通りだった。そこにあったのは、トンネルを掘削する為の機械、<シールドマシン>だったのだ。
これによってトンネルを掘削し、そこからさらに穴を掘って空間を広げ、居住スペースを作る。そういう感じで作られている状態だったと思われる。
渋詞が何故それをシールドマシンと察したかと言えば、以前にも似たようなものが発掘されたことがあったからだ。しかしそちらは完全に壊れていてまったく使い物にならなかった。発掘された資料と突き合わせてそれが<シールドマシンだったもの>と推測された。
そして今、渋詞らの前にあるものは、少なくとも一見しただけでは破損があるようには見えなかった。ただ掘削を一時中断したまま放置されたかのようにも見えたのだった。




