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通路

絵を描くことを楽しめるだけの余裕がまだあったらしいと感じられたとはいえ、実際にはこの居住スペースが作られた頃には社会は崩壊し個々がそれぞれ勝手に生き延びる術を模索していた頃の筈である。


実際、都市としての機能は存在していなかっただろうと推測されていた。


このハイシャインに残された者達が再び社会性を取り戻すようになったのは、地下にできた巨大な空洞を発見し、その地面の亀裂から噴き出していた蒸気を利用し始めてからであった。


この空洞がいかにしてできたのかはいまだに判然としないものの、ここは最初に見付かった時には、地底湖はあったものの当然ながら林などはなかった。そこに噴き出す蒸気を利用して地熱発電所を作って電気を確保し、それを活かして人間が住める環境を作り上げ、今に至るという訳だ。


この世界の人間達は、一度、完全に社会性を失っていた時期があると思われる。それが地下空間で共同生活を営むことで今のレベルまで取り戻せたということだった。


だからここの地下空洞が発見されていなければもうとっくに死に絶えていた可能性もある。


そうこうしている間にも凍り付いていたドアの解凍が済み、いよいよ渋詞(しぶし)らはさらに奥へと足を踏み入れることになった。


万が一の事態に備えて僅かにドアを開け、そこに照明を差し込んで正面には立たずに鏡で中を確認した。これは、軍隊や特殊部隊が屋内で索敵する時などに使う方法だが、渋詞(しぶし)らは別に敵の存在を警戒していた訳じゃない。ドアを開けた途端にそこに入り込んでいた氷のバランスが崩れて一気に崩壊するという事態も想定される為、慎重には慎重を期しているだけである。


だが幸い、今回はそのようなこともないようだ。鏡には凍り付いた通路が映ってはいたものの、それほど危険があるようにも見えない。


そこでさらにドアを大きく開き、実際に肉眼で中を覗き込んでみた。


見るとその通路は、大きく歪んではいたものの人が十分に通れる程度のスペースはあった。また、いくつものドアが並んでいたが、ひめがその空間を探知できなかったということは、おそらくそのどれもが氷に埋め尽くされてるか圧し潰されているということだろう。それでも確認はしなければならない。今後の技術の為にも。


渋詞(しぶし)研果(けんか)新万(しんばん)が警戒しながらも通路へと進み、新万(しんばん)がバックパックから取り出した機械をドアに当てて、さらに聴診器のようなものをドアに当て、音を聞くような真似をした。と言うか、実際に音を聞いているのである。


ドアに当てた機械から辛うじて人間にも聞こえる音を出し、その反響によって内部の構造を大まかに掴む為の機械であった。



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