調査チーム
ひめが、地上への坑道を掘り始めたまさにその時、彼女が発見した<居住スペース>を調査するべく編成されたチームが、浅葱を先頭に櫓を上っていた。浅葱自身はあくまで先導役なので、調査チームは五人。こちらはさすがにベテラン揃いだった。
渋詞、二十八歳。男。調査チームリーダー。
石斗、二十六歳。女。調査チームサブリーダー。
阪丈、二十三歳。男。
研果、二十六歳。女。
新万、二十二歳。男。
という、砕氷ではないがほぼ砕氷と変わらないほどに氷窟内の作業に慣れた者達だった。遺跡を調査し、遺物を回収、搬出するのが彼ら彼女らの仕事である。
ちなみにこちらも、見た目からでは誰が誰か分からないほどに地味で似通った格好だった。ただしこちらの場合は、ユニフォームとしての防寒装備なので、それぞれ大きく胸と背中に番号が割り振られている。渋詞を一として五まで順番だ。
まだ十三歳で成人したばかりの浅葱の後を、黙々とついて行く。彼女が若いからといって決して見くびったりも侮ったりもしない。皆同じ、責任を負うプロフェッショナルだからだ。
焦ることなく淡々と氷窟内を移動し、枝分かれした箇所に着いた時、
「ここだ…」
と浅葱が告げた。
「…分かった」
渋詞が短く応える。もうそれで十分だった。引継ぎは終了し、浅葱は砕氷として自らの氷窟を掘り進め、調査チームはひめが掘った氷窟を進んで<居住スペースへ>へと辿り着いた。
「むう…これは……」
壁に開けられた穴から中を覗き込んだ渋詞が唸る。これまで発見された中でも屈指に綺麗な状態の遺跡だったからだ。殆どの遺跡は、氷の圧力に耐えかねて半壊しているか中に侵入した氷によって半ば埋め尽くされた状態だったりしたからだ。その為、精密機器の類は殆どが壊れていた。あくまで資材として利用できそうなものを回収するのが主な役目になっていただろう。
内部を照らす為の仮設の照明を手分けして取り付けつつ、渋詞らは奥へと進んだ。見たこともない綺麗な脱衣所からさらに奥に入ると、彼らは息を呑んだ。
あまりにも完璧に綺麗な状態で住居スペースが残されていたからだ。少し手入れするだけでそのままここに住めそうな気がする程に。
さすがに住んだりはしないが、非常に良い状態で残っている調度品にも、渋詞らは目を見張るしかなかった。これだけでも相当な価値がある。
さらに調査チームは奥にあった扉に手を掛けた。しかしさすがにそれは凍り付いていてすぐには開けられなかったのだった。




