表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/129

余談

まず初めに断わっておかねばならない。今回と次回の内容は本筋とは直接関係のないものである。よって飛ばしてもらっても差し支えないと思われる。ただ、惑星ハイシャインが置かれている状況がいかに悲劇的かを知る一助になる可能性はあるだろうか。


さて、星歴二二一八年(西暦六〇五三年)現在、人間世界の技術は、西暦三千年頃を境に、<革新的な新技術>というものが殆ど生まれない状態になっていた。具体的には、恒星間航行技術ハイパードライブが実現されて以降、基本的には従来の技術を改良、進歩させる形のものが主となり、まったく新しい技術は千年に一度程度の割合で生まれるのにとどまっていた。


それは、西暦三千年、銀河歴で言うと三百年頃の時点で人間が求めることの殆どは実現されていて、目新しい技術が生まれなくても特に問題ない状態が続いていたことも影響しているだろう。これ以降には、<フライングカーペット機構>と呼ばれる重力均衡技術や<アミダ・リアクター>と呼ばれる電源が発明された程度だろうか。それでも、歩みは緩やかでも確かに技術は進んでいる。


<フライングカーペット機構>は、平たく言えば重力制御の一種で、<空飛ぶ絨毯>の名の通り、重力に反して物体の重量を低減、もしくはマイナスにして宙に浮かせたりするものだった。


また、<アミダ・リアクター>は、アレクサンドロ、ミラーテレス、ダーレグの三博士が開発に成功した、それまでの<原子力電池>とはまったく異なる原理(実は偶然によって発見されたものなので、その正確な全容は未だ解明されていない。つまり三博士はあくまで未知の現象を未知のままで実用化に成功しただけとも言える)によって放射性崩壊そのものからエネルギーを取り出す装置で、ある程度の質量を持った半減期の長い放射性同位体を燃料とすれば、理論上は数万年に渡って電力を得ることが出来るという画期的な発電装置である。もっとも、それが事実かどうかは今後数万年経ってみないと確認できないが。しかしそれによって人類は、大規模発電所から電気を供給してもらい対価を払って電気を買うという不便さから解き放たれ、自動車にすら搭載できるほどの大きさの装置さえ購入すれば、人間の感覚から見ればほぼ無尽蔵に等しい電気を無料で得られるということに成功したのだった。それに比べれば従来の大規模発電所など、ただただ大仰なだけで扱い難い手間のかかる玩具でしかない。


しかし、それぞれ発明されたのは西暦で言うなら三千八百年頃と、五千二百年頃の話である。三千年前の災禍によって他の惑星との連絡網さえ失い、完全に独自の道を歩んできた惑星ハイシャインにはどちらも伝わっていない。


しかも、アミダ・リアクターの小型化に成功してからはハイパードライブとフライングカーペット機構を備えた宇宙船さえ、個人所有の大型プレジャーボート程度の感覚で購入、運用できるほどのものになっていたが、ひめでさえその事実を知らない。


そして、これはさらに余談なのだが、ひめ自身にまつわることであるにも拘わらず彼女自身が知らない、いや、覚えていない事実がある。それは、フルメンテナンスを受けた際に担当した技術者のケアレスミスによって生じたことで、実は、彼女の内臓時計はちょうど四百年ずれていたのだった。


まあこのことはさして重要な問題でもないので気にする必要もないと思われる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ