表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/129

出迎え

ひめと一緒に家に帰った浅葱(あさぎ)の前に、千治(せんじ)が立っていた。二人の帰りを待っていたのだ。


「すまん、ひめをしばらく貸してもらえないか…」


その千治の口調におよそ断ることとができそうにないものを感じ、


「……」


浅葱(あさぎ)は黙って頷いた。


「助かる。ひめ、市長のところに一緒に行ってくれ」


そういう千治の背後に、ダブルデッキの履帯トラックが近付いてきた。助手席には清見(きよみ)村の村長である美園(みその)と秘書の香瑚(たかこ)、運転席にはもう一人の秘書である恵果(けいか)の姿が見えた。三人が横並びで座るには小さなトラックで、分厚い防寒コートを着ていてはそれこそ見た目にも窮屈そうだったが、この世界の自動車は別に長距離を走る訳でもドライブを楽しむ為にある訳でもないので、それで不満が出ることはない。


ダブルデッキの後部座席に千治が乗り込んだ時、ひめが言った。


「私は荷台で構いませんので、美園様はどうぞ千治様と一緒に後席にお座りください」


「お…おお、そうか…」


そんな気遣いをされることはまずないので、美園は戸惑ったが、ひめがひらりと荷台に乗り込んだことで千治と後席に座ることになった。


そして浅葱(あさぎ)に見送られ、荷台にひめを乗せた履帯トラックはUターンして走り去ってしまった。


時速二十キロほどの速度で走り、三十分と掛からずひめ達は市長の執務室のある建物へとやってきた。それを、秘書三人を引き連れた市長の舞香(まいか)自身が出迎える。テロリズムなどはまずないので、その辺りはわりと大雑把だった。


そのまま皆で会議室へと向かい、席に着く。


会議室には、舞華を筆頭に、千治、ひめ、及び地熱発電所所長の仁左(じんざ)と秘書の乾辺(かんべ)、地熱発電所技術主任の天振(あまふり)、そして舞華の秘書の椋姫(くらき)織南(おりな)詩繰(しくり)の九人が顔を合わせる形となった。


ここでは形式ばった前置きや前口上といったものは既に廃れている。必要な人間が揃えばすぐに本題に入るだけだ。


「<あさぎ>、いや、今は<ねむりひめ>か、実はお前に確認したいことがあって来てもらった」


そう語り掛ける舞華にひめも、


「どういったご用件でしょう?」


と簡潔に応える。だから舞華も回りくどい言い方はしない。


「お前には地熱発電所に関する知識はあるか? あるのなら力を貸してほしいのだ」


「地熱発電所ですか? 非常に簡易な発電システムですので、私のデータベースにも概要については情報がありますね。お役に立てるのでしたら協力いたします」


「そうか。ではさっそく、こちらの仁左(じんざ)天振(あまふり)と共に発電所に出向いてもらって彼らに助力してやってほしい。


発電システムに重大なトラブルが生じているのだ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ